実物資産の中でもプラチナは希少価値の高い貴金属として人気があります。同じ貴金属である金と比較されがちですが、プラチナには特有の価格変動要因があります。この記事ではプラチナ価格の推移や変動要因などを説明します。
目次
- 最近のプラチナ価格は金と同様、価値が安定している
- プラチナの価格変動は産出国の経済情勢と技術革新などの影響を受けやすい
- プラチナ価格は工業用途での需要増加する可能性があるので上昇が見込まれる
この記事のポイント
プラチナ価格の推移について
プラチナは埋蔵量が限られており希少性が高い金属です。宝飾品のほか自動車産業や工業分野において高い需要があります。下のグラフはプラチナ価格のリアルタイムチャートです。
プラチナ価格の変動要因
まず、プラチナ価格の代表的な変動要因を見ていきましょう。
産業の動向
プラチナは主に自動車、工業、宝飾品、投資の4つの分野で利用されています。中でも自動車・工業分野の利用が多くを占めていることから、これらの産業の動向がプラチナ価格に影響を与えることになります。需要の中でも高い割合を占めているのが自動車の排気ガスに含まれる有害物質の浄化のための触媒利用です。また、将来的に燃料電池自動車が増えると燃料電池に使用されるプラチナの需要が高まり、価格が上昇すると考えられています。また、工業製品の製造が安定している時期もプラチナの需要が高まり、価格が上昇する要因となります。
経済情勢と金融政策
物価が上昇する局面においてプラチナ価格は上昇しやすくなります。物価が上昇すると貨幣価値は下がりますが、金やプラチナも実「物」資産でありその価格は「物価」であるため、価格は上昇および安定するとされています。つまり物価とプラチナの価格は連動しやすい傾向があるためプラチナを保有することは資産の目減りを防ぐ有効な手段となります。
また、金融政策もプラチナ価格に影響します。貴金属は利息を生まないため金利が上昇すれば貴金属の魅力は薄まり、価格は下落するのが一般的です。逆に金利が低下すれば、預金しても得られる利息収入が減少するため相対的にモノとしての価値があるプラチナの魅力が高まり、価格が上昇すると考えられます。
産出国の政治・経済情勢
プラチナの産出量第1位は南アフリカで全体の約70%を占めています。南アフリカの政治や経済情勢もプラチナ価格に影響を与える要因のひとつです。
例えば、鉱山会社の電力不足による生産停止、鉱山労働者によるデモなど、産出量が減少するとプラチナ価格の上昇につながります。さらに南アフリカランドが米ドルに対して上昇すると南アフリカにとって輸出が不利になる状況から供給量が減少し、プラチナ価格の上昇につながります。
ここ数年のプラチナ価格の推移に関わる主なファクター
プラチナの価格は経済情勢だけでなく時代の変化によっても影響を受けます。
燃料電池自動車の普及
自動車産業において燃料電池自動車が普及するとプラチナの需要が高まると考えられます。
燃料電池自動車は水素と酸素を化学反応させて電気を発生させ、電気をモーターに流す仕組みです。水素と酸素を化学反応させる際に大量のプラチナが必要になるので、燃料電池自動車の普及が進めばプラチナの需要がさらに高まり、価格が上昇すると考えられます。
供給の制限
プラチナの主な産出国である南アフリカでは断続的な電力不足が問題となっており、この影響でプラチナの生産に支障を来している状況です。また、鉱山労働者によるデモやストライキなどの労働問題によって生産が一時停止することもあります。市場原理により供給量が減ると価格は上昇するのが一般的です。つまり、南アフリカの情勢はプラチナの供給に大きく影響し、価格にも影響することになります。
投資需要の増加
プラチナは投資商品としても人気があり、投資需要が増加すれば価格は上昇します。多くの方が「買いたい」と考えれば、価格が引き上げられることはイメージしやすいでしょう。世界情勢が不安定になると安全資産としての投資需要が増えることから、紛争が起こるとリスクを回避するためにプラチナの需要が増え、結果的に価格の上昇につながります。
為替レートの影響
主要産出国の通貨が米ドルに対して強くなると米ドル建てのプラチナ価格が上昇します。また、プラチナは国際的には世界の基軸通貨である米ドル建てで取引されているため日本国内のプラチナ価格はドル円の為替レートの影響を受けます。なお、一般的にドル安が進むとドル資産が減るためリスクヘッジの一環として金やプラチナが買われます。
技術革新
自動車産業をはじめとした業界で技術革新が進めばプラチナ価格にも影響が出ると考えられます。水素社会の実現や排ガス規制などが進むとプラチナの需要が高まることが予想されます。
ただし、一方でプラチナに代わる安価な材料の研究開発も進められており、プラチナに代わる物質が生まれたらプラチナの需要は減少する可能性があります。わざわざ希少価値の高いプラチナを使用する必要がなくなるためです。このように産業の変化やプラチナに代わる物質の発見などといったさまざまな革新がプラチナ価格に影響します。
今後のプラチナ価格を予想
環境への意識が高まっている影響で、環境に配慮した新たな自動車を製造する機運が高まっています。燃料電池自動車やハイブリッド車を製造する過程でプラチナは不可欠な存在である以上、工業用途での需要増加に伴い価格は上昇するでしょう。
しかし、自動車産業をはじめとした工業は世界経済の動向と連動しています。インフレ対策で金融引き締めが行われ金利が上昇すると企業の利息負担が重くなるため産業が停滞します。その結果、プラチナの需要が落ち込み価格が下降する可能性も考えられるでしょう。このようにプラチナ価格の先行きは自動車業界や金融政策などの影響を受けます。
プラチナの価値がなくなることはあるのか?
直近のプラチナの価格は金よりも低いものの埋蔵量に限りがあり希少価値が高い貴金属である点は金と変わりありません。主な用途である工業が冷え込み、世界全体で需要が減ったとしてもプラチナそのものが持つ実物資産としての価値は普遍的です。
長期的に見れば価格が下落するタイミングはあったとしてもプラチナの価値が完全になくなる可能性は極めて低いと考えられます。これが実物資産だからこその強みであり、株式や債券にはないプラチナの強みと言えるでしょう。
プラチナは長期の資産運用に向いているのか?金との比較
プラチナと並んで人気が高い貴金属が金です。ここではプラチナと金の主な違いをまとめました。
プラチナ | 金 | |
年間産出量※ (2023年) |
約180t | 約3,600t |
主な用途 | 工業 | 宝飾品 |
資産価値の安定度 | 金よりもやや低め | 高い |
※出典:PGM market report May 2024(Johnson Matthey)
Gold Demand Trends Full Year 2023(The World Gold Council)
両者とも埋蔵量に限りがあり希少価値の高い貴金属です。しかし、プラチナと金は相違点があります。プラチナは産業用途が多いため、特に自動車や電子機器などの市場動向に敏感です。そのため価格変動が激しく、やや投機色な側面を持っています。短期間で高いリターンを狙いたい投資家や市場の動きに対応して積極的に売買をしたい方にとってプラチナは魅力的な投資商品と言えるでしょう。
一方、資産価値の安定性を重視し長期的な保有を目指す投資家にとっては「守りの資産」の金が向いていると言えるでしょう。
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なお、ポートフォリオ運用によって複数の投資商品に分散させることでリスクを軽減することができます。価格の変動幅の大きいプラチナの方がドルコスト平均法の効果を享受しやすいという側面もありますので、金積立だけでなくプラチナ積立もポートフォリオの一部に組み入れてはいかがでしょうか。
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まとめ
2024年10月現在、プラチナは5,500円/g前後で取引されており金よりも割安です。プラチナは主に工業需要が中心で自動車をはじめとした産業の動向により価格が変動します。また、主な産出国である南アフリカの状況や為替レートによっても価格が変動する点を押さえておきましょう。
前述の通り、プラチナは金よりも割安なため、少ない資金で短期間にてリターンを狙いたい投資家や市場の動きに対応して積極的に売買をしたい方にとってプラチナは魅力的な投資商品と言えるでしょう。
また、長期的な保有を前提に資産価値の安定性を重視する方は金の積立購入を検討してみてはいかがでしょう。
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