豊島逸夫の手帖

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金の第一人者として知られる国際金融アナリスト豊島逸夫氏のブログを掲載します。
なお、本ブログの内容は豊島逸夫氏ご本人の個人的見解であることをご了解の上、閲覧ください。

豊島逸夫氏のプロフィール

豊島逸夫氏近影
豊島逸夫事務所代表。
1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行で外国為替貴金属ディーラーとして活躍。2011年9月までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の日本代表を務める。独立後はチューリッヒやニューヨークでの豊富な相場体験と人脈をもとに、自由な立場から金市場や国際金融、マクロ経済動向について情報発信を行うとともに、“金の国内第一人者”として金投資の普及に尽力。投資の初心者にも分かりやすいトークや文章にファンも多い。得意分野はスキー系、鮨スイーツ系、温泉系。

最新記事

金、3000ドル突破後、3060ドルまで続騰

2025年3月28日 昨日書いたトランプ自動車25%追加関税でスタグフレーションの可能性が高まり、金はロコ・ロンドンで3060ドルまで急騰。昨日の日本時間朝6時台に発表された自動車追加関税は、全ての市場を揺らせた。 今朝、生出演した日経モーニングプラスFT(BSテレ東)のスタッフたちも昨日は番組直前の出来事で、急遽予定を変更して大変だったらしい。皆、お疲れさん色が滲んでいた。 そういう私も昨日から...
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自動車関税、スタグフレーションを想起

2025年3月27日 25%の関税発動に関して、米国国内の自動車メーカーも当惑気味だ。国内に新たな生産拠点とサプライチェーンを完成させるのに少なくとも2~3年はかかると見られているからだ。フォードとGMの株価は、時間外でそれぞれマイナス4.7%とマイナス6.1%ほど急落している。 米国消費者の選択肢としては、当面割高になる輸入車を買うのか、新車購入は諦めるか。前者なら物価高、後者ならGDPの7割を...
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ロシア金大量売却を警戒する金市場

2025年3月26日 今回のロシアへの経済制裁の一環で、ロシア中央銀行が保有する金の海外市場での売却まで禁じられたことは、ロシアにとって大きな誤算であった。同国は経済危機のたびに公的保有金をロンドン市場などで大量に売却して、有事を凌いできた。金市場内では「トイレットペーパーを輸入するための金売却」などと揶揄されたものだ。一方、原油価格が上昇して国庫が潤沢になると次の危機に備え、公的保有金を増やして...
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金価格、年内、暴落も視野に

2025年3月25日 山高ければ、谷深し。3000ドルまで本格調整局面もなく一気に突っ走り、前代未聞の大台を突破して、なおモメンタムによる新規買いが上昇圧力として期待されている。 NY金市場の最前線ではAIを駆使したプログラム売買が多用され、買いが買いを呼ぶ展開になりやすい市場環境が形成されている。そこで働くゴールドトレーダーたちも金専門家ではなく、行内人事異動で株式・債券・外為部門から転任してき...
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トランプさん!ゴールド、持ってますか?

2025年3月21日 2024年はFRBが適度な物価上昇と雇用を実現させる「ソフトランディング」(経済軟着陸)がNY株式市場で囃され、ウォール街に年間流行語大賞でもあれば恐らくトップになるほどであった。それが2025年トランプ政権の時代となるや市場の景色が激変。ソフトランディングなど「懐かしい昔話」と化し、経済の軟化を意味するソフトエコノミーが今年のマーケットリスクとして急速に浮上中だ。 ソフトと...
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速報 NY金、3040ドルまで急騰

2025年3月19日 今週のメインイベントであるFOMC記者会見の前日、フライングかと思われるような国際金価格急騰(グラフはロコ・ロンドン)。筆者も3100ドルはあると見ていたが、このタイミングで3000ドル超えのレンジの値固めに入るとは想定していなかった。NY金市場最前線ではAI売買プログラムが多用され、買いが買いを生む連鎖が生じやすい市場環境になっている。人間の投機家だけではFOMC直前に30...
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いつまで続くトランプ相場

2025年3月18日 17日NY市場をフォローしていてギョッとしたのは、NY連銀製造業景気指数が、事前予測はマイナス2.1に対してマイナス20!と出たこと。普段はさほど注目される経済指標ではないが、あまりの激減ぶりがサプライズとなった。「やっぱりトランプ関税不況か」とのため息が聞こえてくる。 国際金価格はロコ・ロンドンでも3000ドル突破。とは言え、今週のメインイベントはFOMCだ。まだ一波乱あり...
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速報 NY金、3000ドル突破

2025年3月14日 NY金先物が一足早く3000ドル突破。ロコ・ロンドンはグラフのとおり2980ドル台。昨日金が爆上げするような特別の要因は無し。ワイン関税200%だけで金の爆買いは説明できず。モメンタムに尽きる。関税掛け合いの貿易戦争に勝者なし。独自の希少価値を持つ実物資産の金が一人勝ち。上げのスピードが再び加速してきた。3000ドル超えての金価格は極めてボラティリティーが高い展開が続くであろ...
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トランプリスクの注意点を解説

2025年3月13日 金価格は順調にロコ・ロンドンで2940ドル台まで来た。ひとえにトランプリスク(以下に詳述)に尽きる。個人的にはじっくり時間をかけて2900ドルを固めた上で3000ドルに到達して欲しいところ。まぁそう思いどおりにはゆかないことが多いけどね。贅沢な悩みというものだ(笑)。 さて、以下は筆者の見るトランプリスクに関する論文。 自由貿易理論は「譲歩の精神」を前提に成り立つ。各国が「比...
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保護主義は「全員負け」のシナリオ

2025年3月12日 筆者は一橋大学経済学部で「国際経済論」を専攻した。そこで学んだことは「自由貿易」。世界の国々が自国の得意分野に国のリソースを配分して、不得意分野は他国に譲る。さすれば世界経済のパイは成長して大きくなる。この「譲る精神」こそ自由貿易の要だ。 対して、保護主義とはお互いに関税をかけ合い、自国産業を必死に守る。そもそもが「喧嘩」の精神ゆえ、世界各国の経済が傷つき世界経済のパイは縮小...
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