我が国には、古くから大みそかに「そば」を食べる習慣があります。年越しそばと呼んで、いまでも多くの家庭で食べます。なぜ大みそかにそばを食べるのか、その由来には諸説あります。一説によれば、そばは切れやすいことから、旧年の苦労や厄災とも縁が切れるという発想から大みそかに食べるようになったといいます。
ところがまったく反対に、そばは細く長くつながって縁起が良いから大みそかに食べるようになったという説もあります。長寿や無病息災につながるという発想でしょう。
もうひとつ有力な説があります。その昔、金銀細工職人たちが、金箔を打つ時や細工中に飛び散った金粉を集める時に、そば粉を使ったことから、来る年にお金と縁が深くなるように大みそかに食べるようになったという説です。
年越しそばの由来や呼び名は、この他にもいくつかあるようです。いずれも真偽のほどは不明ですが、古来より、そばも金も縁起物として捉えられている点は共通しているようです。新しい年が良い年でありますようにという庶民の願いが込められているのですね。