2026年2月2日

NY金が一日の上げ幅としては史上最高を記録した後、史上最高の下げ幅を記録するという前代未聞の大変動を演じた。
結論から言えば投機マネーの自作自演。
上げのモメンタム(勢い)に乗って買い上げた後、下げのモメンタムに乗って売り攻撃を仕掛けた。
それだけの話。
以下の1年金価格グラフで俯瞰すれば、長期上昇トレンドが頭を叩かれた程度の話。

歴史的高値圏は続く。
筆者がそう言い切れるのは、金価格上昇の理由(ファンダメンタルズ)がいささかも変わっていないからだ。
基軸通貨米ドルへの信認低下。中央銀行金大量購入。地政学的リスク。
このいずれにも突然大きな変化が出たわけではない。
例えて言えば、投機マネーの買いがドカ雪の如く積もり、自重に耐えかね、表層雪崩を引き起こしたわけだ。でも根雪の部分は厳然と残る。
なお、ひとつだけ重要かつ新たな現象が起きた。
次期FRB議長としてウォーシュ氏が指名されたことだ。
これは今後の金価格にジワリ、ボディーブローの如く効くであろう。
ポイントは同氏が量的引き締め(QT)を重視していること。量的緩和でバラ撒いたマネーの回収作業だ。
同氏はそもそも量的緩和に批判的である。大量の米国債を買い込み、巨額のマネーをばら撒いた結果、FRBという組織が肥大化してしまった。一時は買い取った米国債が9兆ドルに達していた。そこで民間にばら撒いたマネーを回収する「量的引き締め=QT」に移行中だ。現在は6.5兆ドルまで減ったが、それでも歴史的には巨額だ。
それゆえ、新議長就任後にはQTを優先させることになりそうだ。
トランプ氏が目の敵にしているFRBへの政治的圧力は続くであろう。それに対して新議長は「FRBという組織を小さくする」ことで、トランプ氏をなだめる意図が透ける。
利下げについては本当に失業率が悪化する場合には実行する。しかしQTを緩めることも利下げと同じく金融緩和効果が期待できる。
更に、ウォーシュ氏の義父が化粧品会社のエスティローダー創業一族で、巨額の政治献金をしていることから、トランプ氏はウォーシュ氏をパウエル氏の如く罵倒するようなことができないことも認識しておくべきだ。
さて、話が長くなったがQTは投資待機資金が減ることを意味する。それゆえ金銀のような典型的な過剰流動性相場にとっては歓迎できない金融政策だ。
長期的な視点に立てば、金の長期上昇相場の最終到達点をいくらか低くする要因にはなり得ることを指摘しておきたい。