2026年1月5日
12月29日の日経新聞記事に「貴金属業界で50年間働いているが、こんな年の瀬の相場は初めてだ」――。マーケットアナリストの豊島逸夫氏が思わずそうつぶやくほど、2025年末の貴金属相場は異様ともいえる熱気を帯びている。と書かれたほど、びっくりポンの相場乱高下劇が展開された。
なお、事務局年末閉鎖のためアップできなかったブログ原稿、12月29日、30日、31日付けを送付しておく。
そして年が明けたら、ベネズエラ情勢で絵に描いたような「有事の金」が勃発。筆者は総じて「有事の金のドカ買いは悪魔の選択」と戒めてきたが、今回ばかりはそうも言っていられない展開だ。独裁者が仕切る国に軍事介入して独裁者本人を米国に移送。裁判にかけるという。
詳細はメディアで報道されているとおりだが、この道理なら習近平氏が軍事介入して台湾の総督を北京に移送。裁判にかけたとしても米国は批判できまい。国際法違反は明らかで、悪しき前例を作ってしまったという点で、今回の「有事」は長期的な影響が懸念される。
この「有事」が起きてから初の取引日が本日。KITCOグラフの赤線。本稿はアジア時間に執筆中だが、4300ドル台から4400ドル台に急騰中だ。

但し、ベネズエラの乱に限っては投機マネーが原油市場に乱入しており、貴金属は主役ではなく脇役扱いだ。
なお、年末のブログに書いたように、CMEが貴金属売買に関して2回目の追加証拠金を課すと発表したことで、ベネズエラの乱前は貴金属全般に下げ圧力が強い状況であった。
CMEは貴金属投機を抑制したが、ベネズエラ発の有事の金買い騒動までは抑制できなかったということだ。
総じて、筆者が強調しておきたいことは本欄で繰り返し書いてきた「アジアの中の日本」の厳しい現実。台湾有事の可能性を考えれば、ベネズエラ情勢は他人事ではない。
万が一の有事に備えた金の必要性が益々高まってきた。
トランプ大統領の西半球重視はグリーンランドにも及ぶ。その結果、東半球(含む台湾)での軍事バランスは中国軍優位となる。
なお、銀もプラチナも有事の資産扱いとなり、価格上昇に拍車がかかっている。このふたつの貴金属は市場規模も小さく、安全資産と呼ぶには無理がある。投機的要素が強いことは本欄で何回も指摘したことだ。それぞれ実需は確かに存在するが、取引の大半はマネーゲームであることをお忘れなく。