豊島逸夫の手帖

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金5000ドル、銀100ドル、NY市場レーダー照射

2026年123

グリーンランドでトランプ氏が歩み寄り、再びTACOトレードとなり、金銀価格は若干下がったところで、猛烈な「押し目買い」の津波が市場を襲い急反騰中だ。マグマの如く蓄積している潜在的買いエネルギーの強さを見せつけられた感がある。既に金5000ドル、銀100ドルが現実的視野に入る。

思うに今や、金を買うという投資行動はトランプ氏に対する不信任票と言えるのではないか。同氏の支持率は今や42%。不支持が54%。この焦りが強まると、相手を威嚇しても最後は妥協する「TACO」の回数が増える。
不支持率の推移と金価格上昇を比較すると、明らかに不支持率が高まることに比例して金価格が上昇している。
NYの仲間たちに言わせれば、「トランプ発言で下げても、そこから押し目買いを入れれば、より高い価格水準を達成できる」と言う。下がった分、助走距離が長くなり、より高いバーを飛べるという相場の力学だ。

更に、FOMOという現象が曲者だ。もともと、株の世界で自分だけが置いていかれることを嫌い、買いの軍団に仲間入りするという人間の横並び心理を意味する言葉である。
FOMO=Fear Of Missing Out
しかし、キョロキョロと他人の行動を見て買うということは誰かが「売りだ!」と叫ぶと、狭い非常口に殺到する如きパニック売りのリスクも孕む。危うい。
金5000ドル、銀100ドルを超えれば、まさに未体験ゾーンだ。
冷静に考えねばならぬ。

金がこの超高値でも中央銀行の買いは続くのか。ポーランドは700トンを目標に買い進むと明言している。
とは言え、外貨準備は通常ドル建てで表示され、保有金のトン数で表示されるわけではない。
中国・インドの民間現物需要が明らかに2割程度は減少していることをワールドゴールドカウンシルでさえ認めている。この高値で金宝飾品は買えず、銀・プラチナにシフトする傾向は否めない。
この実需の頭打ちは地味なので効果が顕在化するのに時間がかかる。例えて言えば、ボクシングのボディーブローの如く、ジワリ、ずっしり効くものだ。
当面はワンツーパンチの連打が効いて価格は上がるであろうが、いい気になっていると腹に食らったパンチの影響でダウンを喫することも珍しくない。

特に銀に関しては、高値圏でのリサイクル売りの影響が顕著に出る。
銀は投機の要素が強く、供給がバイプロ(副産物)ゆえ増えないということを金科玉条の如く買いの理由として囃している。では、供給不足で銀100ドルが正当化されるのか?
需給均衡点を模索している段階と言える。これはおそらく1年はかかるのではないか。
つまり投機買い主導で高値圏での乱高下が続く状況は年内続きそうということだ。

銀と金の決定的な違いは、超長期退蔵派の中央銀行の買いが銀にはないこと。

まぁ、いずれにせよ金5000ドル、銀100ドルの目標達成後も当面は上昇が継続しそう。その後はトランプ氏次第。そのトランプ氏が何を語るか正確に読める人は世界広しと言えど一人もいないことだけは確かだ。本人でさえ分かっていないのだから。