2026年2月27日
金ETFはそもそも年金基金の要請で作られた金投資商品であった。年金が金を買うにあたり、必要条件はまず現物であること。そして有価証券で上場され、いつでも売買されること。
このふたつの命題を満たす商品として金ETFが誕生したのだ。
既に米国の年金基金は金ETFを買っている。
日本も同様だ。筆者の最近の仕事は年金関連が急増中である。投資家相手のセミナーに比し、スモールミーティングの形式ゆえ目立たない。目立つことを嫌う業界でもある。
そもそも超長期に亘り、運用資産価値を維持する必要がある年金基金にとって金は恰好の商品なのだ。
日米ともに年金業界は保守的で横並び。大手が動けば、他も追随する。筆者がまず尋ねられることは「金が上がるか下がるか」ではなく、「よそさんはどうなんでしょうか」。自社だけがやっていない、或いは自社がフライング気味に始めたという状況を嫌う。米国では最大の公的年金カルパース(カリフォルニア州職員共済年金基金)の元CEOがWGCにリクルートされ、金ETF商品開発を始めた経緯がある。カルパースモデルとも言われる彼らのポートフォリオは他州にとってお手本なのだ。
そのような環境下で昨年以来の金高騰が起こり、「金を持たざるリスク」が気になるのだろう。
日本のサラリーマンも自分は金を買っていなくても、これからは企業年金が金を買っているというケースが増えそうだ。
更に筆者が興味を持つのは、GPIFが金を買うことが考えられるか。年金積立金管理運用独立行政法人。別名「市場のクジラ」。
基本的に日本株、国内債券、外国株、外国債券で運用しているが、このクジラが少しでも金を買えば、金市場にとっては大きな量になろう。何しろ運用総額が277兆円に達する世界最大級の「クジラ」なのだから。
実は筆者がワールドゴールドカウンシルに在籍していた頃の全面意見広告に、若杉東大教授(当時の公的年金運用分科会長)とのディスカッションを載せたこともある。
今や中央銀行が金を買う時代。公的年金にとっても金を買うハードルは徐々に低くなりそうだ。