豊島逸夫の手帖

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金市場の二極化

2026年6月3日

以前にも本欄で触れたが、今の金市場では金購入者の二極化現象が顕在化している。
まず、金地金(現物)を貴金属会社から購入して、退蔵する長期投資家。
次に、金ETFを買い、金利やドルの動向を見つつ、短期売買する投資家。

このふたつのグループは「有事の金」に関して全く異なる行動をとる。
前者は将来の地政学的リスクを憂慮して「有事」に備え、金を長期保有する。イラン有事の際もこのグループの投資家層が金売りに走ることはなかった。
対して、後者はイラン有事に際し、原油価格急騰がインフレ再燃を招き、米FRBがインフレ抑制のための「利上げ」を実行するのではないかと考え、保有金の売却に動いた(勿論、金ETF保有者の中に長期保有投資家もいることは否定しない)。
この後者のグループは日々の米ドル金利の動きに敏感に反応して、短期的金価格動向のボラティリティを高める。
対して、金地金グループが前日の米ドル金利が0.2%動いたからといって騒ぐことはない。

総じて、後者の動きが目立つが、実は前者の方が地味だが、サイレントマジョリティー(もの言わぬ多数派)である。

なお、金ETF残高を見ても長期的には増加傾向が確認できるが、短期的には減少する月もある。
対して、金地金保有者は長期的保有だが、中には高値圏で利益確定売りに動く少数派もいる。数十年前に金地金をグラム1000円とか2000円で買った人たちが、その一部を売却することは珍しくない。

総じて、金ETFは証券会社(特にネット系)経由で販売されるため、購入者の心理としては株の銘柄を入れ替える意識で金ETFを売買する傾向が強い。

一方、金地金を販売する証券会社は極めて稀だ。金ETFを金地金に交換するサービスを提供するシステムはあるが。

いずれにせよ、この二極化現象を意識してマクロ視点で金価格動向を分析することが肝要である。

2026年