豊島逸夫の手帖

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中国でも純金積立は堅調

2026年7月1日

中国の金現物需要が底堅い。
金輸入量は本年4月157トン、5月163トン。1~5月では692トン。前年同期比で76%の急増となる。6月は金価格急落で買い控えが目立つようだが、基本的に中国人の金地金選好度の高さは変わらない。急落で一時模様眺めの姿勢にせよ、いずれ押し目買いが急増すると筆者は見る。

欧米では中国人の金現物買いを「バーゲンハンター」と呼ぶ。民族のDNAと言っても良かろう。一人一人の購入量は少ないため地味で外電が報じることは稀だが、何せ購買者数が多いので総量はかなりの数字になるのだ。

更に、中国版「純金積立」も好調のようだ。筆者は中国の大手銀行に日本流「純金積立」導入をアドバイスして、現地で銀行の貴金属部と一緒に立ち上げを手伝った。
その模様を2022年1月18日付け本欄で書いている。

中国の金需要

とにかく、純金積立の会員数がとてつもなく多かった。先述の中国金輸入量の中に占める純金積立の割合もかなり大きいと見られる。
しかも、6月に金価格が急落の段階でも、純金積立は安い価格で多く買えるゆえ、一定の購入量が見込まれる。
更に、足元で国際金価格が4000ドルを割れても、先述の如く個人の金地金購入もいずれ顕在化しよう。

マクロ視点では金市場の二極化現象が目立つ。
ウォーシュ新FRB議長の金融政策で米ドル金利が動いても、中国の金現物購入者は気にしない。文化的金選好度が高いからだ。
対して、金ETF購入者は中国でも急増しているが、このグループはウォーシュ氏の言動に敏感に反応して短期的売買に動く。6月に入り中国でも金ETF残高の減少が見られる。

かくして、外電は金ETFの動きが「残高」として毎日発表されるので報道しやすいが、金地金購入者の行動を把握することは難儀であろう。それゆえ記事になりにくい。中国金輸入量が発表されて初めて知るのであろう。

同じことはインドにも言える。
金に対する課税が強化されても、インド人の文化的金選好度の高さは変わらない。例えば「可愛い娘に持参金としてゴールドジュエリー一式を持たせたいが、金価格が上がってしまって買ってあげられないかもしれない」という近々娘を嫁入りさせる母の嘆きなどがフェイスブックに見られる。このような金現物需要は根強く、いずれ顕在化するのは必至だ。

本欄も欧米金融市場の出来事の金への影響を書くことが多いが、金価格の下げを歓迎する人たちのこともここに改めて書き添えておく。彼らこそ金価格の下値を支える人たちなのだ。

日本でも時あたかもドル円が162円台に突入した。筆者は依然165円を予測している。このような外為市場環境では、安値圏で金現物を購入する人たちがいずれ増えてゆくと見ている。

2026年