豊島逸夫の手帖

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長く持つなら金、当座を凌ぐならドル

2026年3月31日

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今日は発想を変えてみた。
金という無国籍通貨と基軸通貨米ドルを通貨の機能面から比較してみると興味深い。

金塊でモノは買えない。ドルなら買える。通貨の価値交換機能の面では金は劣る。
一方、通貨の長期価値保存機能の観点から見れば、ドルの歴史などたかだか200年ほど。対して金の通貨としての歴史は紀元前に遡る。ドルなど「新参者」。ここは金の方が優れている。

そこで今回のイラン有事での金とドルの動きを見てみよう。
すわ、有事発生ということでマネーはドル買いに走った。金も換金売りされ、ドルに両替された。

思い出したのが東日本大震災の時、金塊を持っているのにセブン‐イレブンで買い物ができなかったという声。同じようなことが今回世界的に起こったのだ。

結果的に教科書どおり、ドル高に振れて、金は売られた。有事のドル買いと言われた。
しかし、日々通貨が売買される外為市場でのドル高と長期的なドルへの信認は別物だ。
世界の中央銀行が外貨準備としてドルより金を選好する傾向は変わらない。長期価値保存機能は金の方が優れていることを認めているわけだ。

話は脱線するが、昨晩退任間近のパウエルFRB議長がハーバード大学にてMCと壇上対話をやっていた。

FRB議長として、いかに米ドルの価値を維持することが難しいか。「パウエルさん、あなたは自分のやってきた仕事に満足していますか?」とMCから問われ、「物価と雇用の両面を安定させるのは難しい」としみじみ答えていた。そこでMCがフランク・シナトラの名曲「マイ・ウェイ」の歌詞の一部を引き合いに出した。「Regrets, I've had a few. But then again,too few to mention. I did what I had to do」

「悔いがないと言えば嘘になるが、私はやるべきことはやったよ」
意訳すればそのような意味になろうか。パウエル氏は苦笑いしていた。

話を戻すが、米ドルの価値を維持することは誰がやっても難事ということだ。そもそも人間が通貨の価値を守ることは性善説、つまり人間に任せておけば上手くいくという発想であろう。

対して、金本位制は人間に任せるのは無理という性悪説に基づく。勿論、ここで金本位制復帰論などを説く気はサラサラないが、中央銀行の金大量購入という事実は基本的に性悪説に基づく行動であろう。

結論
長く持つなら金。当座を凌ぐならドル。

2026年