豊島逸夫の手帖

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次期FRB議長ウォーシュ氏、いよいよデビューへ

2026年5月15日

やっと議会承認が終わり、6月FOMCで新FRB議長としてデビューするウォーシュ氏。本欄でも今後頻繁に出てくる名前になりそう。
因みに、異例のことだがパウエル前議長もFRB理事としてFOMC参加を続ける。
パウエル氏を強く批判してきたウォーシュ氏。「健全な賛成反対論の対立は健全なこと」とかわしているが、さてどうなるか。

ウォーシュ氏の立場は非常にビミョーだ。
背中からトランプ大統領が「利下げ!」をプッシュする中で、現在の米経済状況の最大の問題点が「インフレ」。そのインフレ収束のためには「利上げ」の可能性が俎上に載っている。FOMC参加者の中でも「利上げ」支持論が目立つ。ウォーシュ氏はこれまでFOMC参加者たちを個人名で批判したりしてきたので、「遺恨試合」のリスクもある。

更に、ウォーシュ氏はQE(量的緩和)に反対で、QT(量的引き締め)論を支持する。
そもそもFRBが米国債を買い上げるQEを続けた結果、FRBは巨額の米国債を抱えることになった。所謂「FRB資産規模」が一時は9兆ドルを超え、QTで減らしたものの、まだ6.7兆ドルも残っている。ウォーシュ氏は「これは多過ぎる」とFRB資産規模の肥大化に警鐘を鳴らしてきた。ここが株も金も最も警戒するところだ。そもそもおカネじゃぶじゃぶの過剰流動性相場ゆえ、その流動性が減ることは直接的に株安・金安を誘発するからだ。

それから新議長はFOMC参加者が講演であれこれ語ることを好まない。ドットチャート無用論も匂わす。フォワードガイダンスと呼ばれる金融政策の方向性を予め明示することに反対なのだ。これはこれでFOMC参加者は反発しよう。マーケットの視点でも、ドットチャートやFRB高官発言が無ければ、「危うい夜間飛行」を強いられる。

このような状況でいきなり6月FOMCでウォーシュ氏は重要な判断を迫られる。インフレを重視して「利上げ」も検討するのか、或いは雇用を下支えするためにトランプ氏の圧力を受け、利下げを考慮するのか。11月の中間選挙を睨み、トランプ氏も待ったなしだ。

年後半、米金融政策が重要な金価格決定要因のひとつになろう。
年前半、イラン有事で金が下がったのも、原油高騰→インフレ懸念→利上げのロジックであった。金利要因が有事要因を勝るのだ。
年後半、中東地政学的リスクもFRBは重視せざるを得まい。

2026年