豊島逸夫の手帖

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金、4700ドルから4500ドルへ下落

2026年5月18日

国際金価格の動きを先週5月13日(KITCOグラフ青線)、14日(同グラフ赤線)、15日(同グラフ緑線)の変化で見ると下記グラフの如く、13、14日に4700ドルから4600ドルへ、更に15日には4500ドルへ続落したことが分かる。

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加えて、下記グラフのとおり、その後直近のアジア時間で瞬間的なフラッシュクラッシュの如く、4500ドルを割り込む場面もあった。

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要因は世界的金利上昇に尽きる。
ドル金利(米10年債利回り)は4.6%近傍まで急騰。
日本国債も10年もので本日2.800%と29年ぶりの高さまで上昇している。日本国債利回り変動は米国債利回り変動を誘発するので、NYでは今回の金利上昇の火元は「ジャパン」との声が強い(日本は米国債最大保有国で、米国から見れば債権者なので、日本市場に注目せざるを得ないのだ)。
いずれにせよ、根源的には原油高→インフレ再燃を警戒する動き=国債売りだ。

更に、財政リスクを反映しやすい超長期債では日本国債20年もの利回りが30年ぶりの高水準を付けている。これもNY市場へ影響を与える。
金価格への影響はインフレ警戒がFRB利上げ観測を誘発したことで、金利が付かない金には売り材料となっている。その火元がジャパンとすれば、今回の金売りの火元もジャパンと言えよう。

但し、財政赤字リスクとなると、「刷れる円・ドルと刷れない金」が意識され、金には一転買い材料となる(悪い金利高という表現も使われる)。
両者を天秤にかけ、FRBウォーシュ新議長が今週からいよいよ仕事始めということもあり、FRB利上げ観測が重視され、取りあえず金が売られている。
当面この状況が続きそうだ。

もっとも、中長期視点に立てば、財政赤字リスクに市場の懸念が移るのは必定。
国際金価格も4000ドル近傍まで下げリスクがあるが、中長期視点では、年後半に新高値を更新することになろう。相当荒っぽい相場付きになるは必定。筆者は早くもアドレナリン全開モード(笑)。

なお、ドル円相場だが、予想どおり日本金融当局の介入は失敗したね。
本日は159円まで円安が進行する場面もあった。

米国の中央銀行FRBが利上げに傾いているとされ、市場の「利上げ」確率が5割を超え、今や「利下げ」確率など問題外となった今、NY外為市場ではドル高が進行。対して日本の中央銀行は利上げが後手に回っている。
この流れに逆らっての円買い・ドル売り加入は、当初から筆者も「無理筋」と明言してきた。

昨年の円安は投機筋の円キャリートレードが主体で、投機的円売りを抑え込めばよかったが、今年の円安は市場のファンダメンタルズに根差す流れで昨年より「筋が悪い」。単に投機を抑え込めば流れが変わるという単純な現象ではない。

円建て金価格にとっては、筋の悪い円安の追い風で上昇圧力がかかり続けるであろう。自国通貨安をヘッジする金買いの意義が強まることになる。

2026年