豊島逸夫の手帖

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イラン戦況悪化、金価格動かず

2026年35

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昨日の国際金価格は5100ドル台で大きな値動きなく推移した(KITCOグラフ緑線)。
有事の金買いという買い要因と、米利下げ後退(ドル高)という売り要因が拮抗しているのだ。
昨日も書いたとおり、原油高由来の物価上昇はインフレ要因であり、FRBとしては利下げする市場環境ではない。逆にインフレ再燃防止のための利上げさえ考えられる事態になりかねない。
昨晩発表された米経済指標もインフレには追い風となる数字が相次いだ。

まず、ISMサービス業景況感指数。56.1と前月の53.81から上昇。

更に、民間雇用サービス会社ADPが発表した非農業部門の雇用者数(政府部門は除く)が前月比で6万3000人増えた。2025年7月以来という増加幅だ。

いずれもイラン戦争前の統計数字だが、FRBの視点ではこのような良い数字が出る米国経済に利下げを実行すれば、インフレ感を高めることになる。
従って年内利下げゼロという説も出てきた。
金利を生まない金は米利下げの波に乗って上昇してきたこともあり、いかに「有事の金」環境とは言え、強力な逆風となってきた。
しかも、次期FRB議長のウォーシュ氏(議会承認は未だ)はバリバリのタカ派の立場をこれまで貫いてきた。こういう人物を利下げ強硬派のトランプ大統領が指名したのは、人間関係が良いのであろうとウォール街では噂されている。
いずれにせよNY金市場は有事の金買いと利下げ後退、ドル高傾向による金売りが拮抗して、国際金価格が上にも下にもゆけぬ状態になったのだ。

ここで仮に原油価格が100ドルに近い上昇となれば、スタグフレーションのリスクが顕在化する。物価上昇と不況が同時進行する最悪のシナリオだ。
しかし、万が一スタグフレーションになれば金の独り勝ち。不況にも強く、インフレにも強いからだ。
まぁ昨日の経済指標は米経済が底堅く良い状況を表しているので、スタグフレーションの匂いはしない。
今後イラン戦争開始後の米経済指標が発表される時点になれば、スタグフレーションの確率がある程度見通せることになろう。来月以降の話だ。

なお、今週は雇用統計も発表となる。ここで更に良い数字が出ると、金は売られやすい。但し前提として、イラン戦争が悪化しないという条件付きだが。

筆者はNYのウォール街と米国一般市民のイラン戦争に対する受け止め方の違いを感じている。
市民レベルでは米国兵死亡のニュースなどで、戦争に対する拒否反応が強まっている。

一方、ウォール街は経済指標や原油先物価格に釘付けだ。
そもそも原油先物価格という数字が曲者。
投機筋の売買で先物価格が決まるからだ。原油を安く買って、高く売り、儲けたいという連中が集まる場で決まる原油先物価格。
その数字が重要視されることに筆者は疑念を抱く。

当分この綱引き状態が続きそうな市場環境だ。

最後は気分を変えて、我が家のサクランボの木で花をつっつくメジロ。鶯色ゆえ鶯に間違われる。まぁ梅に鶯の気分で癒されるねぇ。 

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2026年