2026年4月22日
4月16日付け「次期FRB議長ウォーシュ氏、デビュー戦へ」に書いたように、ウォーシュ議会公聴会発言が今月の要注目点。これまでの相場は前座。
そして昨晩、真打登場。
同氏は多くの議員たちに囲まれ、被告席に座らされ、次から次へと意地悪な質問を受けた。彼の心の支えは被告席後ろに控えるウォーシュ夫人。日本では見られない光景。議会の場に夫人同伴。
金市場の関心と本音は「トランプ氏の言うがまま利下げしてくれると助かる」。
ウォーシュ氏の答えは「FRBの政治的独立性は守るべき」。
では利下げするかと言えば、AIの影響で米国経済生産性が向上したからインフレは起こりにくく、利下げもできる環境と語ってきた。しかし昨晩はその見解を封印。あくまでFRBは雇用と物価の両面安定が使命と語った。
そのためには金利を上げたり下げたりの金利政策で対応するという。
実はこの公聴会の数時間前にトランプ大統領は米CNBCに出演し、「ケビン(ウォーシュ)は利下げするさ」と語っていた。
従って、ウォーシュ氏はトランプ氏の操り人形ではないとの姿勢を明らかにしたわけだ。
さて、トランプ氏が利下げ圧力をかけ続け、最後はウォーシュ氏が折れるのか。そうなれば金利のつかない金には強い追い風となる期待が高まる。
しかし、昨晩は最後まで確定的な話は出なかった。
ウォーシュ利下げ容認を期待していた金市場には失望感が漂い、金価格は一時4600ドル台まで急落。

その後のトランプ氏「イラン停戦延長」発言で若干反発して若干救われた感。たまにはトランプ君もいいタイミングで言いたい放題やってくれるね(笑)。
さて、ウォーシュFRBがどう動くか。ある意味、米国は原油生産国の余裕で、NY金市場はFRBの金利政策と量的緩和政策に注目点がシフトしている。そもそもイラン戦争勃発の時点で有事の金売りになったのも、原油急騰でインフレが再燃して、FRBが「利上げ」さえ実行せざるを得ないかもとの議論が噴出したからだ。
金市場が気になる点はもうひとつある。
ウォーシュ氏はかねてから、FRBの資産規模が肥大化しており、量的引き締め(QT)で減らす(スリム化)べしとの考えを述べてきたからだ。QTをやられると、過剰流動性相場の株にも金にも打撃となるのは必至。ウォーシュ氏は昨晩の時点で、これまでのFRBパウエル体制を明確に批判して、インフレ指数なども新たな指標を考案すべしと説いている。
金市場対ウォーシュFRBのせめぎ合いはやっと1回表に、大谷選手が先頭打者で登場した程度の段階。
昨晩、筆者はNYの海千山千の連中とじっくり話し込んだが、結局中東情勢と言っても原油価格と金利動向しか本気で見ていないね。いわゆる地政学的リスクはトランプ氏の妄言で、その影響力を失った。
そもそもNY市場には株債券出身の銀行系ゴールドディーラーが多く、対してロンドンでは現物重視のコモディティー系ディーラーが相対的に多い。NYは金利を重視。ロンドンは現物の流れを重視。筆者はスイス銀行出身。対して日本にはコモディティー系が多い。筆者は「アウェー感」を感じる時さえあるよ。
国際金価格形成の過程ではNYが圧倒的に主導的な状況である。ただ日本のメディアは「商品部ユニット」が金を担当するので、ロンドン系の見解が報道されがちだ。筆者がかねてから違和感を覚えているところ。
まぁ話は尽きないが、ここは緊急YouTube(かなり専門性が高くなるが)でもやってじっくり語りたいと思う。「どうなる、ウォーシュ対金市場」かな。