豊島逸夫の手帖

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雇用統計ショックで貴金属全滅、これからどうなる

2026年68

大きな価格変動があったので、既にXの@jefftoshimaには土曜朝に速報したが、雇用統計の上振れで貴金属価格が軒並み大きく下落。

まず、5月雇用統計の新規雇用者数が17万2000人増加。事前予測の8万5000人を遥かに上回った。更に、前月(4月)分も11万5000人増から17万9000人に上方改定された。

雇用が増えることは良いことだが、市場は原油由来のインフレに「火に油を注ぐようなもの」と警戒する。特に、物価と雇用の安定を使命とするFRBは、軸足を「物価安定」に移しインフレ再燃を抑制するため「利上げ」に動く可能性が強まった。年内利上げ確率も60%を超えてきた。「利上げ」は金利を生まない金にとって天敵だ。しかも、利上げ観測が強まると同時にドル金利も上昇、外為市場ではドル高も強まる。いずれも金には下げ材料だ。

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この結果、金は上記KITCOグラフの赤線(金曜日)、緑線(本日午前中)が示すように4300ドル近傍まで約3%も急落したのだ。銀に至っては8%の暴落。これはきつい。Bloodbath(血の海)というような激しい表現が銀市場には流れる。

金の下げを加速させた要因として、4400ドル近傍にあった200日移動平均線を割り込んだことも大きい。この事実は、特に投機筋の売り手じまいを誘発する。NY市場ではAIのプログラム売買が普及しているので、売りが売りを呼ぶ展開になりやすいことも見逃せない。

ヘッジファンドも短期系のみならず、中期のスパンで運用するグローバルマクロ系の投げ売りも目立った。

さて、これからどうなる。

まず、今週のCPI(米消費者物価指数)発表で、もうひと荒れの可能性。更に来週には、ウォーシュ新FRB議長のデビュー戦とも言えるFOMCが開催される。

当面下押し圧力が強く、4200ドルまでの続落は覚悟せねばなるまい。

但し、ここが最も重要なポイントだが、金の長期的上昇トレンドを支えるファンダメンタルズにはいささかの変化もないこと。中央銀行の金買い、歴史的ドル離れ傾向(短期のドル高とは、全く次元が異なる歴史的トレンド)、主要国で膨らむ財政赤字、そして予見不能な地政学的リスク。これらの長期的要因が重なる中で、短期筋が市場を去った後は本当に長期に金を保有する投資家たちが残り、市場の体質も余計な中性脂肪みたいな投機筋が減ることにより筋肉質になる。今生じている急落はダイエット効果を持つとでも言えようか。純金積立を続けている投資家にとっては、割安で金を買えるバーゲンセールみたいなもの。高みの見物気分でOK。
金価格など気にするよりグルメなど人生を楽しむ余裕があろう。

筆者が興味深く読んだのが、X@jefftoshimaの返信欄。様々な感想が書き込まれているが、概ね当面荒い相場は覚悟の上で一喜一憂せず、長期的な視点を持ち続けようとの姿勢が目立つことだ。このXアカウントのフォロワー5万5400人の多くは所謂「草食系投資家」で、積立会員も多いことが特徴。筆者にとっては心強い結果であった。「なりすまし」が出没することが困ったことではあるが。

 

2026年