2026年6月10日
本日はNY市場で米消費者物価指数(CPI)が発表される。原油高などで上振れすると金には強い下げ要因になるので、今週のメインイベントとして注目されている。
ところが、その前に今日のアジア時間帯で米イラン再交戦の報道により金が急落。4200ドル台を割り込み、4100ドル台に突入した(KITCOグラフ緑線参照)。
今日は今年年末を見据えた金価格動向を考察したい。
NY金市場では短期的な投機売り圧力が強い。特に200日移動平均線を下放れたことで、テクニカル要因による見切り売りが目立つ。
この売り手仕舞いが一巡すれば、弱気派が抜け、長期保有派が残る。
市場内部要因としてAIトレードプログラムが普及しているので、今は売りが売りを呼びやすいが、ひとたび一巡すると買いが買いを呼ぶ今年前半の買いフィーバー再現にもなりやすい。モメンタムトレードと言われるが、投機買いが過熱すれば4000ドルが5500ドルに変わることも十分に考えられる。
年後半は金利高が続くが財政不安を意識した悪い金利上昇(日米国債売り)が顕在化しよう。タームプレミアム(上乗せ金利)も上昇しよう。
中央銀行の金買いも今は自国経済防衛のための外貨準備として金が売られる傾向が目立つが、いずれ買い戻され、更に新規の買いも増えよう。ドル離れという歴史的トレンドは不変なのだ。金を「処分」しようとの動きではない。
外為市場のドル高もドルを好んで買っているのではない。世界の貿易システムに米ドル決済が組み込まれているからだ。
FRB利上げ観測も目先の話で年末まで見据えると甚だ不確定だ。利上げ・利下げ予測は中長期的にはクルクル変わるものだ。
そもそも米国でもインフレが進行中だが、物価上昇に賃金上昇が追いつかず、実質賃金はマイナス傾向なのだ。米国経済の6割以上を占める個人消費は甚だ不安定。クレジットカード決済遅延件数が増加中だ。そこでFRBが利上げを突きつけたらどうなるか。住宅ローン金利は上昇。トランプ大統領の政治的利下げ圧力とは別次元で、FRBの独自判断により今年は政策金利据え置きの可能性が強い。
そして米国中間選挙を11月に控え、トランプ氏も中東に対する強硬姿勢や発言は慎まざるを得ないであろう。原油価格過熱も年末までの視点で見れば、原油先物市場の投機筋の買い攻勢が徐々に冷めてゆくであろう。
以上をまとめて年後半5500ドルまで回復を見込んでいる。
なお、為替は「ご存じ円安派の筆者」ゆえ165円を見ている。