2026年6月16日
まず、国際金価格は昨日朝7時頃の米イラン合意報道直後に4300ドルを付けてから24時間ほぼ同水準で推移している(KITCOグラフ緑線参照)。
まぁ合意と言っても当事者以外は誰も覚書の文面を見ていないし、日本時間明後日18日早朝には「いよいよウォーシュ新FRB議長が初めてFOMCを仕切り、記者会見に臨む」という大きな材料が控えているので、NYトレーダーの立場では売るも買うも躊躇われ様子見に徹しているのだ。
さて、今日の話題は「私は貴方のアドバイスに従って、10年間も地味に金を買い増して、結果的に大儲けしているが、肝心の金現物に触ったことがなく、実感が湧かない。」とぼやく知人のこと。
確かに純金積立や金ETFであれば、もっともなことだ。そこで知り合いの金小売店へ連れて行き〔お蔭様で顔パス(笑)〕、別室で触らせた。本人はインゴットを手のひらに載せた瞬間感極まった様子で言葉が出ない。
ふと思ったことだが、金を預ける立場になると「本当に、本当に、私の『ゴールド』は金庫にあるの?大丈夫?」との心配が全く無いとは言えないのだろうね。私の出身行、某邦銀の貸金庫でも勝手に引き出される事件もあったしね~。
この「まさか」の懸念を単に個人に留まらず、世界の中央銀行も共有していたことが近年露わになっている。
中銀が金を購入して、その一部或いは全部をバンク・オブ・イングランドやNY連銀とかに預けているケースは少なくない。と言うか、それが一般的と言える。
少なくとも中銀の場合は日本の貸金庫詐欺みたいな低レベルの不祥事にはならないと書いたところで、「むむ、ちょっと待てよ、確か『ダイ・ハード』という映画でNYの地下鉄トンネルからドリルで穴を掘って、銀行の金庫から金塊を盗み出すというシーンが話題になったことがあるな~。ま、これはフィクションの世界だけど(笑)。
本論に戻る。中銀がロンドンやNYの公的銀行の金庫に金を預けておいても、それが政治的理由で差し押さえられる、という可能性は否定できない。現にロシアは経済制裁でロンドンに預けた金を引き出すことができなくなった。所有権は主張できてもロンドンの金融機関との「金」売買まで禁止されている。過去の経済制裁では、かろうじて金を引き出すことができたので、今回は「プーチン、痛恨の判断ミス」と言われている。
南米ベネズエラも米国に預けておいた公的保有金を輸入できなくなったことがある。
そんな懸念を最初に行動で示したのがドイツ。
本欄2017年2月16日付け「史上最大の金塊輸送作戦」にて詳述した一件だ。
そして、最近になってフランスやインドなどが相次いで欧米に保管してある公的保有金の本国搬送(レパトリ)を実行したのだ。
トランプ大統領のAmerica Firstがキッカケで、グローバリゼーションから自国第一主義、更に米国と欧州の関係に生じ、公的保有金も自国内で保有・管理する傾向が強まっている。
そこでシンガポールが「我が国に公的金保有・管理はお任せください」とばかりに手を上げた。果たしてシンガポールに預けるのが安全か。今後諸々金の世界で話題になろう。