豊島逸夫の手帖

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地震と金

2026年7月29日

大地震が起きるたびに金に関する新たなエピソードが生まれる。
東日本大震災の時は、自宅保管の金地金が家庭用金庫ごと津波で流され、回収された金庫についても、その中の金地金の所有権を立証するのが難しかった事例などが聞かれた。

そもそも漁師さんの中には大豊漁に恵まれると景気良く金を買いまくる人が少なくない。
更に漁師さんの妻の立場では、夫が海難事故リスクに常に晒されているので、配偶者の死というリスクに備え、「有事の金」を持ち続ける傾向が見られる。

阪神・淡路大震災の時は、焼野原と化した神戸の街がテレビで生中継。たまたま居合わせた女性が焼け跡から壺のような形状のものを探し出し、しきりに中を手で探っている。殆ど灰と化した内部を丁寧に探っていたと思ったら「あった!」と喜びの叫び。
なんと、表面こそすすけているが、金貨がきっちり残っていたのだ。

それ以来、金は燃えない資産という認識が広まり、金購入者の意識調査で「なぜ金を買ったのか」の理由を挙げる時、関西地区に限り「燃えない」という回答が必ず見られるようになった。

筆者の記憶に残ったのは「絵は燃える、器(うつわ)は壊れる、女は逃げる、金は残る」という大阪の旦那衆のつぶやき。これぞ金の本質を突いた名言だ。

それから、金ETFの裏付けとなる金現物の保管先(カストディアン)についても、昔は日本人のホームカントリーバイアスが強く、国内保管に安心感を覚える傾向があった。
しかし、大地震予測が流布されるようになると、海外に保管した方が安全ではないかとの個人投資家の考え方も見られるようになった。

地震と金の関係はこれからも様々な展開を見せることになろう。

2026年