2026年8月28日

今回の金価格上昇局面で、安全資産とされる米国債への不信が理由に挙げられ、債券市場の動きとの連動が意識されている。しかし、一般投資家にとって債券市場は分かりにくく、特殊な専門用語に戸惑うことも多い。
その一例がタームプレミアム。
実は昨日収録したYouTubeの冒頭でも、いきなり米国債の「タームプレミアム」が上昇中という話をしてしまった。
そもそもこの用語は、米国債などの長期債を保有する際に投資家が要求する上乗せ金利のことである。米国債を買うということは、米国にカネを貸すことで、債権者の立場では貸付期間が長い、或いは信用状況が不安定だと焦げ付く可能性も無しとしない、となれば、そのリスクを補填するために上乗せ金利を要求する。それをタームプレミアムと呼ぶ。
その値が今年に入って急上昇しているのだ。
セントルイス連銀のホームページからそのグラフを引用する。
https://fred.stlouisfed.org/series/THREEFYTP10
1Y(one year)のところをクリックすると、過去一年の米国債のタームプレミアムのグラフが出てくる。
特に2026年7月から8月にかけて0.6%台から0.9%台近くまで上昇中だ。
この時期は金価格が4000ドル台で底値を切り上げる展開を見せた時期と一致する。
即ち、金市場が米国財政悪化を懸念して、安全資産として買われてきた状況の裏付けとなるのだ。
筆者が「今回の上昇相場はドルの価値下落ヘッジなどを目的にした、中長期目線の投資家を中心に形成されている」と分析する所以である。
なお、付け加えれば財政政策不信と金融政策不信が同時進行で共振している。それゆえ持続性ある金価格上昇が見込まれるのだ。
但し、昨日本欄に書いたように価格が急騰すれば、待ってましたとばかりに短期投機筋(commodity trading advisor=CTAと呼ばれる一団)がレバレッジをかけて一斉に金市場に入ってくるので、ボラティリティーは激しくなろう。レベル4の警戒警報を発出した所以だ。何やらネットで「レベル4」だけが独り歩きしているので、気になり敢えて本コラムで詳説した次第。
なお、NY金市場最前線では元債券トレーダーが人事異動、或いは金担当チームの増員としていきなり働かされている。金についての知見は薄いが債券のプロゆえいきなり活躍している。
社内でゴールド部門が格上げされるのは大いに結構なことだが、金には素人集団ゆえ傍から見ているとハラハラすることもある。結果的にわけもなく金価格が上がったり下がったりする事例が多いことは、投資家の立場でも当惑しているところであろう。
AIのゴールドトレーダーも徐々に増えている。特にNY市場では構造的に大きな変化が起こっている。その結果のひとつとして買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶ展開の頻度が高まっている。この傾向は今後更に一般化してゆくであろう。
最終的にはAIがチーフトレーダーで人間様は顧客相手の説明・解説役=カスタマートレーダーになるというような事態も現実的なシナリオと言わねばなるまい。
なお、YouTubeは週末楽待で公開予定だそうな。
最後に金市場も今晩のジャクソンホールでのウォーシュ講演に注目している。
結局大したことは言えまいと筆者は見ているが、こればかりは蓋を開けてみないと分からんね~~。
札幌はすっかり秋めいてきて、コスモスが咲き始め、夜は虫の声がするよ。
昨晩の写真だけど、お月様が出ている下に黒い雲が不気味に漂い、レベル3の豪雨警報が発出されるという異常な状況。
