豊島逸夫の手帖

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ベッセント財務長官、師匠から厳しいお叱り

2026年8月26日

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昨晩のウォール街では、カリスマ投資家ドラッケンミラー氏のウォールストリートジャーナル紙への寄稿を巡り、侃々諤々の議論が乱れ飛んだ。
ドラッケンミラー氏と言えばソロス氏の盟友。本欄にもたびたび登場してきた人物。

ソロス氏の盟友、金大量保有明かす

彼の弟子がベッセント現財務長官とウォーシュ現FRB議長という関係。ソロス一家も錚々たるメンバーだね。
ウォーシュ氏は数年前のテレビ出演で「私はドラッケンミラー氏をmentor(師匠)として尊敬している」と明言していた。
その「師匠」がウォールストリートジャーナル紙に長文の寄稿。今回のベッセント財務長官の米国債買い戻し介入を愚策と言わんばかりの口調で扱き下ろしたのだ。曰く「このような市場介入は当局の負けだ」。

ソロス一家に草鞋を脱いでいた時代に、英国政府を相手にポンドを売り倒し、勝った実績があればこその説得力。
「財政赤字のファンダメンタルズを変えなければ、人的介入は問題の先送りに過ぎない」と批判した。
筆者流に言えば「住宅ローンの毎月の返済をクレジットカードで決済するようなもの」ということか。
まぁそれを一番身に染みて感じているのも他ならぬベッセント氏であろう。

しかし、財政赤字のファンダメンタルズを変えるということは財政支出減、或いは増税。
中間選挙を控え、支持率低下中のトランプ親分が許すはずもない。
人気取りのばら撒き財政のコスト(米国債発行の金利支払い)上昇は、何としても抑制せねばならない。
巨額の米国債が売られるようなことがあれば、トランプ政権への不信任票と見られかねない。

これは財政政策の問題だが、ドルを供給するのはFRB。即ち金融政策の問題だ。
事実コロナ対策などでFRBは巨額のドルをばら撒き、今はそれを徐々に回収する段階にある。9兆ドルを超えた資金供給も量的引き締め(QT)により6兆ドル台にまで減ったが、まだ6兆ドル以上が残っているとも言える。

ウォーシュ氏は「FRBの肥大化」を以前から批判。同時にFRB議長就任後は物価安定を最重要視して「インフレ退治のための利上げも辞さず」の構えだ。
しかし、現段階では利上げが必要なほどインフレが粘着質(しつこい)か否かを見極めている状況。FOMC内部でも意見が割れている。それゆえ今週金曜日のジャクソンホールにおけるウォーシュ講演が注目されているのだ。

かくして、FRBの利上げ(短期政策金利)に対し、財務省は無茶振りと言われようと長期金利上昇の抑制に動く。
どう見ても、危うい状況だ。
米国経済混乱に備え、金をリスクヘッジとして保有するという投資家行動は今後も続くであろう。
ベッセント氏もウォーシュ氏もソロス一家出身ゆえ個人的には「安全資産として米国債より金を保有したい」というのが本音だろうね~。

このような実態を見せつけられると世界の中央銀行が公的金購入に走る傾向も強まるばかりとなろう。金はドルの代替通貨と言われるが筆者に言わせればドルが金の代替通貨なのだ。
米国債もドル紙幣も刷れるが金は刷れない。ソロス一家の面々はこの事実をヘッジファンドとして痛感しているのだ。

2026年