2026年8月24日

前回の4000ドル台から5000ドル台に上抜ける過程ではレバレッジを利かせた投機筋が先行。一般投資家が一斉に出遅れ意識を強め、「FOMC」と呼ばれる現象で追随した。
それに対し、今回の金上昇過程は徐々に底値を切り上げているので底堅い。
プロの視点では上げのカタチが良い。何が違うのか。「ドル不安」にしても今回は具体性を伴うからだ。
前回は教科書的な「基軸通貨ドルへの信認低下」が語られた。ディベースメントトレードというような用語にメディアが飛びつき、流行り言葉になった(そもそもディベースメントトレードは仮想通貨の世界から囃された言葉なのだが)。
然るに今回は事実的背景がはるかに重い。
量的ドル不安と質的ドル不安が同時進行しているので具体性があるのだ。量的には米国公的債務40兆ドル。
その背景には米国経済の司令塔とも言えるウォーシュFRB議長とベッセント財務長官へのマーケットの疑義が質的要素として指摘できる。
ウォーシュ氏は金融政策に関して、FRBがむやみに情報を発することを避ける方針を明確にしている。彼らが語れば市場は乱高下するから、まずは市場に動いてもらってFRBはそれに対して「金融政策」の方向性を決めるスタンスである。しかし、この方法はかえって市場の不透明性や不安感を煽ってしまう。ドル不信に拍車をかける結果になる。
ベッセント氏はドル円介入に続き米国債介入に踏み切ったが、いずれも効果は一過性。円買い介入では通貨ペアとしてドルを売れず、ユーロを売るという変形介入を強いられた。財務長官自身がドル売りリスクを最も痛感しているという現実が透ける。
更に、為替介入直後ベッセント氏は米国債買い戻しという米国債市場の異例の介入(買い支え)を実施した。元ヘッジファンドで市場を知り尽くした同氏ゆえ市場は注目したが、結局時間稼ぎ、一時的効果に終わった。
この事例は元プロでもドル不安を収束できないことを市場に印象付けた。
そこでドルの代替通貨であり、無国籍通貨とも言われるゴールド見直し機運が高まった。
全て「事実」に基づくドル不安ゆえ生々しい現実味があり、単に投機マネーだけではなく、正統派のポートフォリオ運用のマネーも金買いに動き始めた。
金買いはウォーシュ氏とベッセント氏に対する不信任票と言える投資行動だ。
投機筋と異なり派手さはないが、ずっしりくる買いでもある。
前回とは明らかに異なる。
更に、具体性のある一連のドル不安が世界の中央銀行金購入機運をいやが上にも高めることであろう。
結局、トランプ氏お気に入りの若頭二人、ウォーシュ氏とベッセント氏という具体的人物がドル不信を煽るという皮肉な結果になりつつある。
今週後半にはジャクソンホール中央銀行フォーラムでウォーシュ議長が登壇する。果たして何を語るのか。
一方、ベッセント氏はあちこちテレビ生出演して、自らの政策を擁護することに必死の様相だ。
今週も連日新たな発言やイベントが市場を揺らすことになろう。