豊島逸夫の手帖

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NY金市場、金銀高騰の裏事情

2026年1月20日

買いが買いを呼び、売りが売りを呼び、長期上昇傾向とは言え、ボラティリティーが高い状況が展開されがちな地合いになっている。
その大きな価格変動には表からは見えにくい裏事情が関係している。

人手不足だ。特に優秀なディーラーやゴールドアナリストが既に解雇されてしまった。
その矢先に金ブームとなったのだ。慌てて俄かゴールドディーラーやゴールドアナリストを株や債券部門から人事異動で間に合わせているが、何せ未体験の世界。頼るはAI。

AIのトレーディングプログラムの指示で売り買い注文を出す。ところがAIも金となるとまだ習熟度が低く、買いや売りの連鎖が生じがちなのだ。

そこで筆者まで駆り出され、アドバイザー役を務めている次第。
筆者も自らの知的財産を安売りする気はないけどね(笑)。

現場のディーラーたちは「俺たちは所詮、コンピューターのシステムメンテナンス役さ」といじけている。

ではなぜ優秀な人材が不足になってしまったのか。
理由はドッドフランク法。
リーマンショックの苦い体験により、金融業務を規制するために作られた法律で、全文1800ページもある。その中で原油と金については銀行の自己勘定売買が厳しく制限されたのだ。
その結果、金部門に関してはトレーディング部門が縮小、或いは閉鎖され、多くのゴールドディーラーが解雇されたのだ。

ところが運命とは皮肉なもので、ここにきてゴールド部門が見直され、急遽人員増加となった。取りあえずは株債券外為部門からディーラーを配置換え。とは言え俄かディーラーたちは金の知見が薄い。ゴールドアナリストも一夜漬けの猛勉強。

筆者もまさかこういう展開でNY市場関連の仕事が急増するとは思わなかったね。
先日の亀池三者鼎談でも、「君たちを高値で売れるよ(笑)」と語ったところだ。