豊島逸夫の手帖

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原油100ドル突破、株暴落、有事の金買い不発??

2026年3月9日

週明け、いきなりWTI原油先物が100ドルを突破して、株価が暴落を演じている最中に、金価格は5000ドルに向け下落中(月曜朝執筆時点)。

「有事の金のドカ買いは悪魔の選択」
筆者がずっと言い続けてきたことだ。本欄にも書いてきた。有事勃発時はプロの感覚で売りなのだ。

しかし、堅気の衆は有事の金買いと煽られ、結局高値掴みに泣く。もう何回繰り返されたことか。
リーマンショック時も金はまず売られ600ドル台まで暴落。その後1000ドルを突破した。

今回は中東波乱勃発時に金価格は既に史上最高値圏にあった。含み益はたっぷり。そこで特に短期売買のヘッジファンドは株の損失を補填するため、金の換金売りに走った。金はATMと呼ばれる所以でもある。株の信用買いをしてきた人は追加証拠金捻出(キャッシュ)に迫られ、泣く泣く金を売って支払う事例も少なくない。
まぁ売られたと言っても金価格は5000ドル前後。歴史的視点ではとんでもない高水準だ。

この換金売りが一巡すれば、そこから買い直されるのは必至。
金の長期上昇を支えてきた3つの要因。中銀の金買い、基軸通貨ドルへの信認の低下(単なる外為市場のドル安・ドル高とは異次元の歴史的トレンド)、そして地政学的リスク。この基礎的条件(ファンダメンタルズ)にはいささかの変化もないからだ。投機筋の都合で暫時売られても基本的上昇傾向は変わらないのだ。

短期的視点では中東情勢が更に悪化して、株が底なし沼に陥った時は換金売りが続くであろう。それでも金の下値は4800ドル程度か。筆者には「バーゲン価格」に映る。

そもそも有事の金とは平時から金を地味に買い増し、いざという時に売って凌ぐという発想だ。
それゆえ純金積立で定額を買うという投資行為こそ、有事に備えた金買いと言える。

プロは「噂で買って、ニュースで売る」もの、「Buy on rumors,Sell on news.」。筆者がスイス銀行のトレーダー時代から叩き込まれたことだが、未だに生きている。

2026年