豊島逸夫の手帖

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ジャクソンホール会議で金急落、「魚の目」で見よ

2026年8月31日

多くを語らず、手の内を見せないウォーシュFRB議長ゆえ、ジャクソンホール中央銀行シンポジウムでも大したことは言うまい(言えまい)と思っていたが、蓋を開けてみたら、何と饒舌な議長に変身していた。

演説の半分はインフレと利上げの話。「我々にはやるべきことがある」と利上げを強く匂わせた。勿論「利上げ」に直接言及するはずもないが、文脈から推して市場は「これは利上げ示唆だよね~」と思わざるを得ない講演文。まぁ英文解釈の領域とでも言えようか。

利上げが天敵の金価格はストンと100ドル以上の急落。と言っても、その実態は例によって投機筋の見切り売り。金の上昇基調が続いたから、ここは恰好のポジション整理の言い訳になった。

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それゆえ魚の目で見れば、金5000ドルへの道は変わらず。
この点については池ちゃんとのYouTubeが予定どおり週末に配信され議論されている。

【ゴールド上昇】5000ドル到達後に暴騰!? 今は「嵐の前の静けさ」/なぜ金利高でも価格上昇するのか/虫の目・魚の目・鳥の目で見よ/中央銀行、財政政策、金融政策の影響《豊島逸夫×池水雄一×大橋ひろこ》

「5000ドルに接近すると、レバレッジをかけた連中が市場に入って来て暴れ、ボラが高まる。」と私は発言したのだが、それが「5000ドル到達後に暴騰!?」になってしまった。YouTube屋さんは、あくまで派手に上げるか、暴落か刺激的表現を好むねぇ。
なお、収録日がジャクソンホール会議前日だったので、この下げについては語られていない。

中途半端で終わらせたくないので、YouTubeの「豊島逸夫チャンネル」をひっさしぶりに復活させて語ろうかと思案中。
札幌で私の苦手なネット関連を諸々支えてくれる専門家が既にスタンバっている。最近の傾向ではYouTubeよりインスタが経済を気楽に語れるメディアとしても使われているので、そっちで行うかも。但し私の現行インスタのアカウントはグルメ関連で、しかも殆どアップデートされていないので、新たなアカウントを設定せねばならない。

さて、急落に話を戻すが、今後の展開に大きな問題を残すことになりそう。
ウォーシュ氏率いるFRBは政策金利上昇に動き、対してベッセント氏率いる財務省は米国債市場への介入で力づくでも長期金利上昇を抑え込む姿勢。
金融政策と財政政策が微妙に異なり、市場はその結果を読み切れず不安な状態に置かれる。
結果的には米債券市場という世界最大のマーケットに介入しても、巨額の米財政赤字を減らすというファンダメンタルズを変える政策を実行せねば単なる先送りに終わってしまう。

しかし、中間選挙を控え、支持率下落中のトランプ親分にしてみれば軍事費や社会福祉関連の支出を削ることなどできるはずもない。
せいぜいカナダなどを槍玉に挙げ、関税を引き上げる程度のことか。
そこでトランプ親分は不機嫌になり、若頭のベッセント氏とウォーシュ氏に辛くあたることになろう。
ウォール街ではトランプ一家の蜜月の終焉などと語られている。

特にFRBに対する政治的介入は常々懸念されてきた問題。当面はウォーシュ氏を擁護して、取り巻きのFOMCやFRB高官たちに非難の矛先を向けてきたが、いざ利上げともなれば、それこそトランプ氏とウォーシュ氏のハネムーン期間も終焉を迎えるのは必至。
そこまで先読みするとジャクソンホールでのウォーシュ氏の利上げ示唆は「序幕」で、これから金融・財政政策の不安要因が顕在化することで安全資産としての金の需要は更に高まることになろう。特に安全資産の代表格とされてきた米国債に火が付いたことでマネーが金に流入する現象が加速することになろう。
そもそもジャクソンホール後の金急落は市場内部的な視点でも短期投機家がふるい落とされたに過ぎない。

ここは「虫の目」ではなく「魚の目」で金市場の「底流」を見極めることが大事だよ。

2026年