豊島逸夫の手帖

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ベッセント劇場の様相

2026年9月10日

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ドル建て金価格はKITCOグラフの如く、4400ドル近辺で短期的に膠着。
日本人投資家が気になる円建て金価格はドル円相場次第だが、こちらも暫時153円台で短期的に膠着。
どちらにも共通していることはベッセント財務長官のふたつの「市場介入」が影響していること。

まず、ドル建て金価格については、虫の目で見れば今週発表のCPI。魚の目で見れば9月FOMC。
そして、鳥の目で見れば40兆ドルまで膨張してしまった米国の債務。FRBの利上げ問題はウォーシュ議長の管轄事項だが、米国債務問題はベッセント氏が抱える大きな経済問題。
米国の借金証文とも言える超長期国債(30年物)の利回りは直近5.29%と近年では極めて高い水準にある。
これは米国がカネを借りようとしても、年率5%以上を30年間払う約束を強いられているということだ。
更に、年率5%ともなると米国債の利払いだけで年率1兆ドルを超えてしまう。

これは何とかせねばとベッセント氏が打って出た手段は、米国財務省が自ら発行した30年国債を、買い入れ消却(バイバック)するという債券市場への市場介入であった。
ところが、介入で根源的財政赤字が解決できるはずもないから、マーケットは単なる時間稼ぎとしか見ず、米30年債利回りは依然高止まりしている。タームプレミアムも高止まり。

そこで、昨晩ベッセント氏は米国債バイバックの第二弾を発表。60億ドル規模と金額を明示したが、市場の反応は「それっぽっち?」と物足りない様子で「もっと増額」をおねだりする有様。
なまじバイバックなどに踏み切るから、財務省が財政赤字問題に手こずっている実態が露わになり、市場の財政不安は強まった。
これが鳥の目で見た長期米国経済アキレス腱で、ドルへの信頼を弱め、金には追い風となっている次第。

そして、ドル円問題。
これもベッセント氏が協調介入に踏み切り、その後のことは昨日詳述したところだ。
昨晩のNY市場では投機筋とベッセント氏の睨み合いの様相であった。
日銀利上げについては1回程度の利上げでは円安の流れは止められない。植田日銀総裁や側近の日銀審議委員たちが、強力な利上げコーラスでもしなければ効果は薄かろう。
それにしてもヘッジファンド時代に投機的円売りで大儲けしたベッセント氏が、今やその投機筋を威嚇して、円売りを思いとどませる立場になろうとは。

そうこうしているうちに、米テキサス州ダラスでは異例の共和党大会が始まる。その実態は支持率急低下のトランプ大統領の決起集会。焦るトランプ氏は若頭格のベッセント氏やウォーシュ氏の尻を叩くことになりそう。
鳥の目で見れば、金の4400ドルも、円建て金価格も、バーゲン価格!

2026年