2026年9月9日
昨晩のNY市場ではドル円相場に異様な注目が集まっていた。筆者のところにもNYの仲間たちから、日銀利上げ等の件で諸々問い合わせが相次いだ。これまでBOJ(日銀)などスルーされていたので珍しい変化だ。
NY外為市場での人気通貨ペアも、これまでのドル・ユーロからドル・円にシフト。投機的に円を売買するNY市場関係者が間違いなく増えてきた。
この現象を快く思わないのがベッセント財務長官。既に日米協調外為介入を行ったので後には引けない。そこで飛び出した発言がキツイ表現だった。
円相場について「I am the house!」と大見得を切って見せたのだ。
このスラング的表現の意味は「俺が胴元!」。「だから、必ず勝つ!」と断言したのだ。ヘッジファンド出身の財務長官が元同僚たちに挑戦状を叩きつけた感がある。ベッセント氏は更に「私は日本側も含め、諸々内部情報を把握している。」とも語った。
筆者にはベッセント氏の焦りとしか思えないのだが。NY市場の投機筋はさすがにビビったようだ。NY時間中に154円台まで戻したが、結局153円台で帰ってきた。
何故ベッセント氏がそれほど円安是正にこだわるのか。
まず、円安の理由のひとつが高市内閣の積極財政に対する不安。日本国債の売却傾向が強まると米国債売りに波及する可能性が高い。NY債券市場では米国債最大保有国日本の存在感が強いのだ。
更に、日銀利上げで円高ということになると海外に投資されていたジャパンマネーが「金利ある時代」に入った日本に戻ってくる可能性。米国側から見れば、ジャパンマネーが米国債保有を見切り、円建て資産に「里帰り」(レパトリ)するシナリオを危惧しているのだ。
結局、ベッセント氏は日銀総裁に利上げのプレッシャーをかけ、日本の首相にはリフレ政策を抑制するように強く求めている。それも強い表現で。大きなお世話だけどね。
来週には日銀とFRBの金融政策決定会合が開催される。
米財務長官として、米金融政策担当のウォーシュ議長に「利上げは待ってくれ。利下げも考慮してくれ。」とは絶対に言えない立場だ。
かくして、今週は米CPI(米消費者物価指数)、そしてちょっとした要人発言に市場がどのように反応するか。
その反応ぶりを見て、ウォーシュ議長が政策金利据え置きか、利上げ決行かを決断することになろう。それがウォーシュ流。FRBが基本的金融政策の方向性を明らかにして、市場がFRBの動きに反応するパウエル時代は終わった。
金市場の視点では、据え置きとなれば、反騰しよう。
利上げとなれば、かなり織り込まれているものの基本的には逆風。
仮に年内2回利上げともなれば、さすがに金にはきついね(勿論2回の可能性は極めて低い)。
総じて、ウォーシュ議長次第で中期的金価格回復の時期が遅れるリスクもあることは頭の中に入れておく必要があろう。
ここは中期的な正念場と言える(長期上昇トレンドは変わらず!)。
なお、昨晩は中東情勢悪化による原油価格急騰により、金価格には下げ圧力がかかった(KITCOグラフ緑線参照)。
先が読めない中東リスクの影響も無視できない。
