豊島逸夫の手帖

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素直になったWGC、4215ドル予測

2026年9月2日

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WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)発足時点から25年間、同機関で働いた者として、ぶっちゃけ「良い意味で」驚いた。
ウォーシュFRB議長のタカ派講演から下げが続く金価格について、下値抵抗線の4215ドルまで下落する可能性をアナリスト(複数形でWGCanalystsとなっている)が予測として言及したからだ。

WGCは「国際的金調査機関」(筆者がこの日本語訳を作った)と名乗っているが実態は広報機関、或いは販売促進機関。公的に「金が下がる話」は社内でタブーだ。まぁこれは証券会社にでも言えることではあるけどね。

筆者はWGC在任当時から言いたいことを言って、下がりそうな時は弱気コメントを出して、社内では「困りもの」扱いであった。まぁ結局「東京のJeffはしょうがない」という感じであったが。

そもそも独立した理由のひとつがhouse viewと呼ばれる社の公的見解に縛られず、独立系として自由に発言したいということがあった。

そのような体験をしてきたゆえ、今回のように4215ドルという具体的数字(テクニカルチャートに基づく)を正直に語るのを見ると「見直した」感。「お、WGCもやるじゃん」という感じ(笑)。

さて、その金価格だが4300ドル近傍で推移している。世界的長期金利上昇傾向に加え、昨日は米イランの軍事的エスカレートにより原油価格が急騰したことが、金価格には下げ圧力となっている。

週末にリリースされた池ちゃんとのYouTubeでは「5000ドルに接近するとレバレッジをかけた連中がドッと押し寄せて来て、ボラが荒い相場になるよ。」と発言した。

そのYouTubeの収録日が、たまたまジャクソンホール会議直前で、結果的にはリリースされた時点で金価格が反落傾向になっていた。
多くを語らず(フォワードガイダンス撤廃)、手の内を明かすことなく、まずは市場の動きを見てFRBとしての見解を語るウォーシュ議長ゆえ、自ら明確に利上げを示唆する如き発言は想定外であった。

そこに世界的長期国債売却傾向が加速。長期金利上昇傾向がワールドワイドで顕著になり、金には逆風となった。但し、安全資産とされる米国債売却の動きは同じく安全資産としての座を争う金にはいずれ追い風となる。

加えて、AIが利上げに追い風か否かとの議論もNY市場では活発だ。
まず、AI関連で巨額の投資および購入が行われるので、これがインフレ要因となり、利上げ確率上昇に一役買うという説。
対して、AIが人間様の雇用を奪い、企業としては安価なロボットで代替することで企業の生産効率が上昇。生産性が向上することはディスインフレ(物価下落要因)になるという説。
全く相反する議論が市場を賑わしているのだ。

9月利上げの確率にしても今週発表の雇用統計、来週のCPIの結果次第で大きく振れる可能性大だ。
従って、現時点で9月利上げを決めつけ、売り攻勢をかけている短期投資家層も、場合によっては金売りポジションを一斉に買い手仕舞わねばならぬ展開も予想される。

更に、現時点で読めない問題は、米国長期金利上昇を債券市場介入で抑え込んだベッセント財務長官が、短期政策金利引き上げを目指すウォーシュ議長と何らかの「お互いの立場、或いは面子を守るための妥協案」を模索する、或いはしているのか。

最後にトランプ親分の対イラン強硬姿勢の今後。更に中間選挙を控えて金融財政政策に政治的圧力をどの程度強めるのか。
まだまだ不透明な部分が多い。現時点の利上げ確率にしても、あくまで「瞬間風速」。
野球に例えれば、利上げゲームはまだ3回裏程度と言えよう。

金市場チームには中央銀行の買いとか中国インドの文化的金選好度の高さなど錦の御旗があるが、これらの要因は即効性に欠ける。虫の目で見た場合、今日や明日の金市場最前線で注目される要因ではない。虫の目では先物やETFの資金流入・ポジション増減により決まる傾向が強い。
いろいろ書いてきたが、そろそろ金価格も底打ちと筆者は見ている。

なお、本日午前11時半配信予定だった「豊島逸夫チャンネル」は久しぶりの更新とあって、予期せぬ機械的トラブルが発生して延期になった次第。個人的に札幌の快適な気候の下、諸々抱え込み過ぎたと反省しきりです。
拙速を避け、きっちり時間をかけて仕上げてゆきます。
札幌は今朝18度。寒いぐらいだった。コスモスが咲き、夜は虫の声も聞こえる。
昼は超快適な気候だよ。実は東京で対面の仕事が溜まっているのだが、札幌市から新千歳空港までが遠く感じられるねぇ(笑)。

2026年