2017年2月16日
ドイツが外貨準備として保有し、ニューヨーク、ロンドン、パリに分散保管している大量の金塊を、フランクフルトに戻している。このことは、既に金の世界では周知の事実だが、その輸送ペースが早まってきた。当初は2020年末完了予定が、今年年内にも終えるという。
数字を確認しておくと、現在進行中の金輸送が、ニューヨーク連銀からドイツ連銀へ300トン。パリ国立銀行からドイツ連銀へ374トン。当局者の話では、このうち、583トンの輸送が完了とのこと。ちなみに、ドイツの公的金保有量は3378トンである。
なお、既に、イングランド銀行からは、931トンの金塊を移送済である。
今回の輸送計画完了時には、ドイツの公的金保有量のなかで、ニューヨーク連銀に1236トン、432トンがイングランド銀行に残ると言う。あとは、すべてフランクフルトで保管されることになる。
この計画は、そもそも、英国EU離脱前、トランプ氏当選前に決定され、すでに実行されていた。しかし、当初から、その背後には、ドイツの「引っ込み傾向」「孤立主義的流れ」を象徴する出来事として扱われてきた。
それが、英国EU離脱、トランプ大統領誕生、そして、フランスに反EU政党から大統領誕生の可能性と続いてきた。アメリカ・ファースト、イギリス・ファースト、フランス・ファーストそしてドイツ・ファースト。各国が自国第一主義に傾き始めるにしたがい、ドイツの海外保有金、本国移送の事実も、まさに時代の流れを映す現象となっているのだ。