豊島逸夫の手帖

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三つの同時多発有事、市場を揺らす

2017年8月18日

真夏の市場で三つの有事が激動を誘発している。

1)人種差別というタブーに触れ、トランプ政権は最大級の危機。

轟々たる非難の嵐にも関わらず、トランプ大統領は奴隷制度の象徴的存在、南軍リー将軍銅像撤去に反対する白人至上主義者側に理解を示す発言。「なにが悪い。」と言わんばかりのトーンだ。そして制服組トップまでがトランプ批判。米軍は多人種編成部隊ゆえのことだが、それにしても異例のこと。制服組政治介入の前例を残す結果にもなった。その政治介入を誘発するような政治環境も問題だ。外交面では、国務省(日本での外務省)が空洞化している。局長以下のポストに未だ空席が多く、予算も3割カットされ、省内の士気は下がるばかり。結局、ティラーソン国務長官とトランプ大統領が携帯電話で連絡を取り合いつつ、そこに娘婿のクシュナー上級顧問が中東担当に任命され、同族ホワイトハウス主導の構図になっている。このような態勢で北朝鮮問題にも対応しているわけだ。

2)ISテロがスペインにも波及。バルセロナ中心部では死傷者多数を出す惨事。

これは突発的で全く想定外であったが、死者も多く欧州にはショックが走る。テロの連鎖は止まらず。

3)相対的に北朝鮮情勢が後退の印象だが、危うい瀬戸際外交は続く。日米2プラス2、つまり外務・防衛担当閣僚協議を終えて、ティラーソン国務長官は「北朝鮮が間違えば軍事的準備」。日本は自国防衛の役割拡大、つまり防衛能力の強化に向け防衛費の伸びを加速させる。具体策は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入計画。臨戦態勢である。

NY市場ではダウ274ポイントと今年二番目の下げ幅で急落。10年債利回りが2.2%の大台を割り込み、2.18%。インフレ期待は遠のくばかり。

このような状況が続けば、利上げも覚束ない。

ドル安円高進行で、国際金価格は1280ドル台後半に続騰中。

東京の天候は涼しいがマーケットはホットである。

そして、マーケットが荒れてくると、私はアドレナリンが出て肉食系になる(笑)。

色々な肉を選べるレストランで、仔牛骨付きと鶏肉炭火焼を選んだ。美味。そして、六本木ミッドタウンの虎屋で季節の生菓子(道明寺系)と抹茶。甘さが沁みた~~。

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なお明後日、日曜発売の日経ヴェリタス「豊島逸夫の逸'sOK!」には、トランプ政権危機と題して書いたよ。

2017年