2017年8月25日
今週の株・外為そして商品関連のマーケットニュースには、頻繁に「ジャクソンホール」という名前が出てきます。「ジャクソンホールを控え様子見」みたいなコメントが目立ちますね。
そもそもジャクソンホールは日本で言えば上高地みたいなワイオミング州にある避暑地です。そこで8月下旬に毎年世界の中央銀行幹部や経済学者たちが集まり、主として金融政策についてアカデミックな観点から議論するシンポジウムが開催されます。
元来、一般的な経済政策論を交わす場だったのですが、参加するFRBやECB(欧州中央銀行)総裁たちが、その時の自国の金融政策の分析・展望などに言及することが常態化して、マーケットの注目を集めるようになりました。講演での発言の行間を読み、株・ドル・金などが買われたり売られたりするようになったのです。8月と言えば夏季休暇相場で商いも薄いので、ヘッジファンドなどの投機筋にとっては恰好の動く口実となったのですね。過去の例では、バーナンキ前FRB議長の量的緩和縮小を示唆する発言で市場が大荒れになったことが記憶に残ります。
私見ですが、中央銀行の総裁はFOMCやECB理事会など、金融政策を議論・決定する場があるのですから、重要な金融政策変更についてジャクソンホールなどで言及するのはどうかな、と思います。今年だって9月には注目のFOMCやECB理事会が控えているのですから、そこに参加する人たちの発言も聞かずに総裁が先走って見解を述べるのはおかしいと思うのです。
とは言え、もう既にマーケットの予定には織り込まれてしまっているので、ジャクソンホールでの発言が抽象的な表現であっても、市場参加者たちはあれこれ深読みするようになってしまいました。経済メディアにも夏枯れの中で恰好のネタを提供しますから、媒体も放って置かないですよ。自社のトップ記者たちを続々現地に派遣してリアルタイムで中継を流したりしています。
そこで今年のフォーカスなのですが、まずイエレンFRB議長が講演します。ここは当然、利上げと資産圧縮に関する考えと米国経済をどの程度評価しているか、というところがポイントです。更に、量的緩和という異常な金融緩和政策が株価高騰などのバブルを招くリスクや、資産価格上昇の恩恵を受ける人と関係ない人との格差も問題視されています。来年任期終了となるイエレン議長にとって、最後のジャクソンホールになるのか、或いは続投あるのか、ということも興味を持たれるところです。ただ、イエレン議長は言質取らせるような言い回しは必ず避けますから、発言をアナリストやトレーダーたちがどう解釈するかが問題になります。現時点ではおそらく「近々」或いは「秋にも」FRB保有資産圧縮、即ちばら撒いた巨額マネーの回収という難題に「慎重に」取り組み開始となるだろうと推測されます。
そして今年は、特にイエレン議長を凌ぐ注目を浴びているのがドラギECB総裁。ECBも欧州経済好調なので、いよいよ量的緩和縮小に乗り出すという観測が市場では支配的なので、非常にホットな話題になっているからです。既に、それを織り込んでユーロがかなり高くなっていますね。これは日本の円高と同じで、欧州経済・産業の国際競争力を削ぎますので、ECBの本音としては望ましくない傾向なのです。ですから、物言えば唇寒し、というような季節ではないですが、ドラギ総裁も今回はおとなしくしているとの観測が有力です。
市場の反応は引き締め傾向ならドル高あるいはユーロ高、金安。緩和的ならその逆になります。
なお、我が日銀は従来総裁自らが出張ることはなかったのですが、国際派黒田さんになってからは御大自ら出向いています。あまり話題にはなりませんが。。。。
ということで、私も今晩は徹夜覚悟の態勢。猛暑の昼は軽く流していました。
そして札幌イタリアン写真の続き(笑)。
昆布のジュレがけの活蛸。珍しい夏トリュフと丸く平たいパスタ。そして、こんなに厚いヒラメ。もうキリがないからこのへんでおしまい~~~。
最後に、今晩から朝日新聞電子版で、私とママさんタレント、優木まおみさんの「金対談」前篇、来週には後篇がアップされます。クリックしてみてください。来週火曜日の朝日新聞朝刊紙面にも出る予定です。
↓
http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2017081718771.html?iref=andm_pc_living_ar1