2017年11月17日
今朝も日経平均が朝方前日比400円超まで急騰後、円高を嫌気して300円以上急落。ジェットコースター相場と言うか兜町カジノと言うべきか。筆者は株投資も長期投資を薦めてきたが、このように投機化すると一般個人投資家にはちょっと待てと言わざるを得ない。昨今、個人投資家向け株式積立商品を立ち上げ、証券業界をあげてキャンペーンを集中させているが、いくらコツコツと言ってもこれでは初心者の心臓に悪かろう。リスク耐性があり心臓に毛が生えている(笑)人ならいざ知らず、投資体験の無い人が高値圏から株の世界に入ると「やっぱり投資って怖い」と引っ込むことになろう。
日本株市場だが、ヘッジファンドの売り手仕舞いが一巡したところでやはり第二波の買いが出始めた。日銀が下値を買い支えヘッジファンドが買い上げるという意図せざる連携プレーが相場水準を切り上げる展開。
ヘッジファンド側は年末休暇を控え、今年最後の一仕事という感覚の短期売買と割り切っている。休暇中に米朝軍事衝突の可能性がゼロとは言えず、日銀からは緩和政策の副作用発言がいつ飛び出すやも知れぬ。従って、日本株買いポジションを休暇中も持ち続ける「勇気」は感じられない。年末にかけてボラティリティーが高い状況が続きそうだ。
グローバルな視点では、日本株急反騰が欧米市場のリスク・センチメント改善にも寄与して、結果的には世界的株安連鎖を断ち切る役割を果たしたとも言える。現地時間深夜にもかかわらず日本市場をチェックしているファンドが多い。
NY市場の注目点はなんと言ってもトランプ減税案の帰趨だ。下院通過と言っても上院では厳しい展開が待ち受ける。それでも市場は満額回答ではないが「進展」に一定の評価を与えた。日本発市場センチメント好転現象の一端と見える。
とは言え、上記の北朝鮮軍事リスク、日銀出口リスクが現実となれば日経平均が一気に2万円を割り込み、1万8千円か、1万6千円かなどの議論も現地の市場内では飛び交う。原油価格もこのまま上昇基調が続くとは思えない。中長期的な株安リスクを無視するわけには行かない。市場環境が急転した場合にどこまで「逃げ切れるか」が問題だ。「軍事衝突」「日銀出口発言」などのキーワード(彼らはバズワードと呼ぶ)がアルゴリズム経由で売り注文を発動する事態となれば、売りが売りを呼ぶ連鎖が懸念される。長期投資スタンスの年金基金などは、日本株購入を検討してもすんなりと基金内のコンセンサスがまとまる状況ではない。