豊島逸夫の手帖

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トランプ就任演説、日本への影響

2017年1月23日

トランプ新大統領は、就任演説で、いきなり既存のワシントン政治体制に挑戦状を叩きつけ、米国国民第一の基本方針を明確に示した。「米国ファースト」の発想には「世界ファースト」を語る余裕はない。米国人中間層は徹底して守るが、日本人中間層はトランプ氏の視野には入らない。

俯瞰すれば、今後4年間、世界に保護主義が拡散するシナリオが現実味を増す。

長期的経済成長が見込めず、パイの食い合いとなる可能性がある。

個人投資家の視点でいえば、2017年はトランプ相場のモメンタムで乗り切れるだろう。しかし、保護主義の禍根は3年後に祟る。トランプラリーの果実を無駄にせず、長期的自己防衛のための蓄えとすべきだろう。

トランプ氏主催のパーティーには参加するが、会場出口近くに陣取る発想が賢明である。

トランプ相場も、1月20日で、ハネムーン期間は終わった。これからは、現実を直視して、米国新経済政策を厳しく吟味する段階に入った。

世界的視野で見れば、米国が引っ込み、その真空地帯を中国が狙う展開が予想される。ダボス会議で、習近平国家主席が基調演説を行い、混乱する世界の中で、「白馬の騎士」を演じてみせた。今後、英国離脱に揺れる欧州と中国がこれまで以上に接近する可能性がある。いっぽうで、米国とロシアが接近するシナリオも考えられる。世界のバランスオブパワーが大きく変わる狭間に置かれた日本も正念場である。韓国政情不安、北朝鮮の核開発のリスクをもろに受ける状況で、トランプ政権と「大人のつきあい」を強いられることになろう。

そして、世界に向かって存在感を示すためには、日本経済の基礎体力をつけることが喫緊の命題になる。そのためは、国民に痛みを課す構造改革を避けて通ることはできない。危機意識を共有して、痛みを分かち合わねばならない。

トランプ就任演説は、日本国民の意識に良い意味で刺激を与えるキッカケにもなりうるのだ。

金市場に関しては、トランプ新大統領の発する不安感がヘッジとしての金買いを誘発している。いつなんどきツイッターで呟くのか予測できないので、市場は神経質になっている。だから、金でも買っておきたくなる気持ちになるのだね。

それから、就任式については、リアルタイムでツイッターでコメントしているよ。@jefftoshima

今週号の日経ヴェリタス「豊島逸夫の逸's OK!」には、バーナンキ氏、ソロス氏、その他、ノーベル経済学者たちのトランプ観をまとめた。

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週末は、土曜日に大阪でテレビ生出演。日曜に、ついに今シーズン初のスキー。ピーカン!トランプ騒動やら、少雪現象なので、今シーズンは、えらく出遅れてしまった。去年は半日スキーを40回やったけど、今年は20回くらいかな。昨対マイナス50%(笑)。 写真は、ガーラ湯沢で私のお気に入りの食堂の席。眼下に越後湯沢、そして、谷川連峰を見渡す。久しぶりに発散できて、運動の後のピザが旨かった!

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2017年