豊島逸夫の手帖

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FRB、利上げしたくても出来ない悩み

2017年2月23日


1月FOMC議事録には、イエレン議長はじめ参加者たちの「もどかしさ」が滲みでている。昨年までは、利上げは「データ次第」と明言してきたが、いまや、「トランプ次第」になりつつあるからだ。おそらく、今後もトランプ政権は経済政策の不透明感を払しょくはできないであろう。財政政策案が議会を通過するには、どうみても、今年の夏くらいまでかかりそうだ。それでも、「早い段階」で決断しないと、利上げが後手後手に回り経済が過熱するリスクが心配だ。


しかも、トランプ政権下で危ぶまれている「FRBの政治的独立性」を見せつけるがごとく、凛とした態度で臨まねばならない。財政政策は中央銀行が関与するところにあらず。金融政策は当方の判断で決めさせていただく。財政金融のポリシーミックスのなかで、己の領域では己の判断を貫くしかあるまい。


市場が最も注目する利上げ時期も、「早くて3月」と言っても、フランス大統領選挙で国民戦線ルペン党首が支持率でまずリードするような状況では、掛け声だけに終わって当然ではないか。今の市場環境で、3月に利上げしなかったからと、非難されるいわれもなかろう。
6月の可能性が最も高いとされるが、もし、5月のフランス大統領選挙でルペン氏当選ともなれば、かなりの市場混乱が予想される。現時点では「まさか」のシナリオなのだが、昨年、2回の「まさか」の煮え湯を飲まされてきた市場関係者には、トラウマがつきまとう。しかも、ユーロ急落となり、買われる通貨はドルと円になる。欧米外為市場ではドル・ユーロの通貨ペアの取引量が最大なので、「ドル高」とされよう。そこに米国利上げが重なれば、ドル高加速は必至だ。その禍は新興国を直撃。米国は世界の警察ではない、とトランプ氏は語ったが、市場では、FRBは世界の中央銀行扱いである。
更に、米国企業業績にも無視できない影響を与えることになろう。かくして6月利上げとて、その実現性には不確定要素が多い。その場合、9月、12月と慌てて2回利上げに追い込まれるリスクも想定せねばなるまい。


そして、気になるのは円相場動向。
利上げが先送りされ、トランプ・ルペンリスクが顕在化すればするほど、円は買われやすい地合いとなる。しかし、年後半に、米国利上げが実行されれば、円安の地合いとなりやすい。
更に、2018年まで見据えれば、日銀の金融緩和継続についての議論が高まることになろう。イールドカーブ・コントロールによる長期金利実質固定策などは、副首相・副大統領の間の日米経済会議で、「為替操作」の誹りを受けるかもしれない。とはいえ、足元で欧州リスクにより独国国債利回りが再び低下している状況を見せつけられると、世界的低金利からの脱却が容易ではないことを痛感する。
結局、円相場については、いろいろ論じられるが、円高圧力・円安圧力の狭間で、膠着するシナリオが現実的に浮上している。ヘッジファンドも、ユーロ売りには熱心だが、円については、方向性が定まらず、レンジ内の短期売買に徹する姿勢が顕著だ。115円を超えるドル高・円安になれば、トランプ大統領からの通貨安牽制がどうしても気になる。いっぽう、リスクオフで110円を超える円高・ドル安になる可能性もあろうが、そもそも有事の円買いは持続性に欠ける。時期はともかく、いずれ米国利上げは不可避だ。110円から115円のレンジは、相場の視点で居心地の良い水準ともいえよう。
短期的なボラティリティー(価格変動)は高いが、中期的には、一方的な円高・円安は考えにくい市場環境である。


話は変わるけど、人間ドックで、血糖値上がって、糖尿宣言されたよ~~。好物の甘い物系食べ過ぎは明らか(笑)。私は痩せすぎで、もうこれ以上、落とす体重もないのに、カロリー制限。
血糖値上昇のもう一つの理由はトランプくん、君だよ~~(笑)。例年、この時期はスキー中心の生活になるのに、今年のスキー回数は昨対45%もの激減。 だからやけ食いになってた。まぁ、このブログ名物の旨い物写真も当分お預けだね。本文など読まず、あれ目当ての読者も多いのだけど、残念でした~~~。私も残念です~~。

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