豊島逸夫の手帖

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NYから現地レポート2

2017年6月6日

著名投資家で友人のジム・ロジャーズ氏がたまたまNYに来ていたのでTV対談した。

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自宅があるシンガポールからサンクトペテルブルグに行き国際経済フォーラムに出席。ディナーではプーチン大統領と同席した後、NYに寄ったとのこと。相変わらず世界を飛び回っている。ロシアへの投資も長年ご執心で、徐々にストックを増やしていると語る。長期的にロシア経済は立ち直るとの読みだ。原油価格にも強気のスタンスだ。現在は人気薄の投資先だが、それゆえ長期的な視点では割安で仕込めると熱く語る。

対談の冒頭では、例によってなのだが「私は短期的価格予測は苦手。外してばかりいるからやらない。メディアでコメントするプロたちに聞いてくれ。」と笑いながら釘を刺した。

まず、ずばり北朝鮮について切り込み「日本ではミサイル着弾の有事が真剣に議論されているが。」と話を向けた。

答えは「それは騒ぎ過ぎではないか。北朝鮮が日本にミサイル攻撃を仕掛けるなど自殺行為に等しくありえない。即、米国の圧倒的軍事力で北朝鮮が壊滅するは必定。」と断じた。

長期的には朝鮮半島の北と南が統合され「United Korea」となり、日本にとって強力な経済的ライバルとなるとのシナリオにも言及した。

では有事に円は今後も買われるか、と問うと「いわゆる安全通貨としてはまず米ドル。その次に円。米ドル>円ゆえ、本当の有事に外為市場では円安になると予測する。近年リスクオフ円高の傾向があるが、私にとっては不可解な事象だ。ちなみに私は自分の資産としてもっぱら米ドルを保有している。なお、日本株も保有しており当面売る気はない。」と一気に語った。中期的にも米国金融政策が利上げとバランスシート縮小で引き締めに向かうのでドル高と見ている。長期的にも少子高齢化という人口動態的理由で円安は不可避と語る。理論で語るタイプではなく、実際に売買する立場で話すのでコメントも極めて簡潔である。AのシナリオとBのシナリオというようなヘッジはかけない。それゆえ世界の個人投資家に人気があるのだろう。

トランプ政権から中国まで様々な話題について語り、予定の1時間をオーバーしたほど。

70年代にジョージ・ソロス氏と初のヘッジファンドを立ち上げ、大成功を収めたのち、娘を中国語学校に通わせたいとの理由でシンガポールへ移住した著名投資家ゆえ、経験に裏打ちされて説得力を随所に感じた。

日経CNBCの金特番なので金についても盛りだくさん語ったが、これは放映時に見てください。

足元ではヘッジファンドが金市場に参入して強気モードが続いているが、徐々に過熱気味。株も債券も金も円も買われて、早晩どこかが売られる宿命にある。

まずは今週木曜日に米国ではコミー前FBI長官ロシアゲートについての議会証言、英国ではテロで混沌の総選挙、そしてECB欧州中央銀行理事会が集中するので要注意。1300ドルを超すか、急反落するか、重要な分かれ目になりそうだ。

ところでNYは糖質制限食のメニューが豊富だね。東京ではなかなか手に入らない全粒粉100%、ライ麦100%のパンが色々売られているし、それを使ったサンドイッチ専門店(OPEN RYE)まである。早速買って色々試食中。昼食時にはサラリーマンやOLの列が出来る。

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更に、そもそも糖質が高い小麦不使用のクッキーまで見つけた。大量に仕入れてゆくかな(笑)。

(筆者注、全粒粉もライ麦も小麦粉だけど、100%だとカラダの吸収が遅く、血糖値が急騰しないのが良いわけ。ゆっくり食べるのが良い。)

私が痩せたのを見て、NYの連中はAre you on a health kick?(健康オタクかい?)とニコニコ聞いてくる。糖質制限で痩せすぎの連中が珍しくないので慣れている。日本だと「お痩せになりましたね。」「ご自愛くださいませ。」とか心配顔で言われるのと対照的。私も痩せたくないのだけどね~。高血糖値放置は痛みもないからサイレントキラーと言われるのだよ。

明日はNYSEのフロアー。寄り付きにいるから、うろついている姿が経済テレビに映るかもね(笑)。

2017年