2017年4月24日
フランス大統領選挙結果を最初に受ける東京市場動向を、欧米ヘッジファンドなどのトレーダーたちも現地日曜出勤でフォローした。
とりあえず「悪夢のシナリオ」は回避できたとの安堵感が漂い、ユーロの売りポジションを買い戻す動きが目立つ。とはいえ、リスクオフの円買いポジションは、北朝鮮情勢が予断を許さぬ展開ゆえ巻き戻しの円売りも限定的だ。株式市場は欧州リスクが後退すれば、目先は安堵感から日本株も買われる。しかし、長期国際分散運用の視点では日本株と欧州株はライバル関係にあるので、欧州株にマネーがシフトすると日本株の運用比率は相対的に低くなることも留意すべきだ。金に関しては買いが一旦手仕舞われるが押し目は買われそうだ。その理由には事欠かない世界情勢である。
では、フランスリスクの今後はどうなるか。
伝統的な中道政党は残らず、無所属候補と極右政党候補の組み合わせという異例の展開だ。反EUの二候補、親EUの二候補に分けると、得票数ではほぼ五分五分である。フランス国内の亀裂が鮮明だ。移民には警戒的だが、ルペン候補の過激発言にも警戒的との本音が透ける。国内の全てのイスラム教モスク閉鎖、保安当局の警戒リストに過激派として載る人物の国外追放及びフランス国籍無効化などを強く主張されると「そこまではついてゆけない」という心情であろう。
更に、トランプ大統領もプーチン大統領もルペン候補に好意的な発言をしてきたので、マクロン大統領になった場合にも米露関係に不安要素を残す。
まずトランプ大統領はAP通信とのインタビューで「パリ警察官殺傷テロは、恐らくルペン氏を助けることになろう。」と述べた。ルペン候補支持ともとれる発言である。その理由として「国境問題に関し最も強硬」という点を挙げている。トランプ大統領は好き嫌いが激しい性格で、EUを離脱するメイ首相には親しく接している。いっぽう、EUの象徴的存在と言えるメルケル首相には冷淡だ。そこで親EU側のマクロン候補にはかなり厳しい態度を見せることになりそうだ。
更に、プーチン大統領とはモスクワでルペン候補と握手を交わす写真が流れている。プーチン大統領は「フランス大統領選挙に影響を与えるつもりはないが、欧州政治のなかで急速に伸びている勢力を代表する人物。」とルペン候補を評した。但し当初はフィヨン候補を支持していたのが、同候補の公的資金不正使用疑惑が勃発して、ルペン候補に乗り換えた経緯もある。仮にマクロン候補が大統領になればトランプ大統領との差別化を意識して支持に廻るかもしれない。
フランスを巡り米露の思惑が揺れる。
決戦投票から6月の議会選挙まで、政治要因としてフランスからは依然目が離せない。
なお、本日月曜日の「ミヤネ屋」にスタジオ出演して、例の現金強奪事件から有事の金まで一般視聴者向けに語ります。
今日の写真は週末テレ朝に出た時と、日経プラス10で使った世界経済リスク点検ボード。猫がフランスに注目しています(笑)。
そして、リツイートが3000回を超えた有事の円買いツイートの写真も。