豊島逸夫の手帖

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日本株連騰ストップ

2017年10月25日

日経平均の連騰が15日でやっと止まった。理由のひとつが「午後2時すぎても、日銀の買いがなかった」から。

ここから真価が問われる。

今回の日本株上昇の実態は日本人個人投資家が「売り」、外国人投資家が「買い」。だから兜町に過熱感が感じられない。日本人株投資家はあまり高望みしていない、これ以上はそれほど上がらないと見ているようだ。

NY株価は上昇。金は1273ドル台まで下落中。

さて、トランプ大統領が共和党上院議員との会合の席で「次期FRB議長には誰がよいか」について挙手を求めたというブルームバーグ報道に、市場が身構えた。

出席上院議員の多くは「棄権」したようだが、スコット上院議員は「トランプ氏は勝者を発表しなかったが、私はテイラー氏が勝ったと思う。」と語った。

市場はこのコメントで「すわ、テイラー氏か」と色めき立った。ドル円相場もドル高・円安に振れる局面もあった。

一方、ラウンズ上院議員は「挙手が少なかったので判断は難しかった。」とも述べている。

トランプ大統領が未だ決めかねていることが透けるが、来日直前までに決めると語っているので残された時間は少ない。

NY市場関係者はどう見ているのか。

米国経済メディアが実施した調査では、パウエル氏予測が44.7%で抜けている。対抗馬のテイラー氏は23.4%、イエレン氏再任は12.8%に留まる。

興味深いのは「市場にとって誰が望ましいか」という設問の回答。

ここではイエレン氏が43.5%でダントツ一位。テイラー氏19.6%、パウエル氏は17.4%と差を開けられた。不透明性を嫌うマーケットは現状継続路線を願っている。

従ってテイラー氏が指名された場合には、瞬間的に115円近辺までのドル高・円安進行が予想される。イエレン氏の「データ次第」からテイラー氏はインフレ率とGDPを変数として決めるという「ルール重視」。そのルールに従うと適正FFレートが3%前後とはじき出される。候補者の中では、最も市場撹乱要因が多い人物と言えるので、スコット上院議員の発言にも市場は敏感に反応するのだ。さながら決定の瞬間の予告編を見ている如き感があった。

金価格もドル相場を通じて影響があること。

日本株連騰の今後にも、FRB議長人事は無縁ではない。

今回は為替離れの株高と言われるが、さすがにドル高円安が急進行すれば、企業業績の上振れにより日本株買いを更に促進するだろう。

最終決定は「very very soon 極めて近くに」とトランプ大統領は明言している。同氏のことゆえ、人事決定をいつ何時ツイッターでつぶやくかもしれない。市場は臨戦態勢である。

2017年