豊島逸夫の手帖

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北朝鮮情勢、俄かに緊張、市場は?

2017年7月5日

ティラーソン国務長官が、今回の北朝鮮ミサイル試射を「中距離ミサイル」から「長距離可能な弾道ミサイル=ICBM」と認定。トランプ大統領は、かねてから米国本土到達可能なICBM発射実験をレッドライン(最後の一線)としていた。早くも米韓で対ICBM共同軍事演習に動いている。

しかも、米国の世論も今回は北朝鮮に対して非常に厳しくなっている。米国人学生が強制労働から解放された後、死去した一件が米国内での怒りを買っているからだ。トランプ大統領としても、国内向けに強硬姿勢を誇示せねばならない。

とは言え、仲介役の中国は相変わらず殆ど動かず。北朝鮮との金融取引や石炭輸出などを制限する程度だ。しかも、ロシアのプーチン大統領と習近平国家主席は、共同で米韓の合同軍事演習を批判している。更に、韓国内に米軍の弾道ミサイル迎撃システムのサード配置を巡り、中国側は強硬に撤去を求めている。

かくして、今回はNY市場も北朝鮮問題を地球の裏側の他人事とは言えない状況だ。

まずはG20開催が迫っているので、そこでトランプ・習対談、トランプ・プーチン対談の成り行きが注目される。

なお、NYでのジム・ロジャーズ氏との対談では、北朝鮮問題につき「もし北朝鮮を軍事攻撃すれば、日韓に破壊的損害を与える結果になるのであり得ない。長期的には朝鮮半島は統一される。資源もある国なので、経済面で日本の強力なライバルになる。」と語っていた。

金市場に関しては、確かに「有事の金」の材料にはなるが、なっても一過性。やはり米金融政策、特に利上げ・資産縮小のほうが大きな問題だ。最新の情報では、9月から資産縮小を開始して利上げは9月は一回休み、12月に利上げ、というシナリオも浮上している。いずれにせよ、9月利上げの確率は未だ18%で、市場は全く織り込んでいない。今後9月或いは12月利上げが織り込まれ、確率90%程度まで上昇する過程では、かなりのドル高(円安)が進行するだろう。これはドル建て金にとってかなりの逆風。それにブレーキをかけ下支えしているのが、今回の北朝鮮問題急転回ということになろうか。金を空売りしてきた投機筋にとっては、買戻しの恰好の口実ともなりそうだ。

今日の写真は、とん平焼きの続き。豚肉を薄くお好み焼き粉で覆い焼くので、普通のお好み焼とかなり違う。少なくとも関東ものの私にとってはね(笑)。 そして、くつろぐネコちゃん写真。

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2017年