豊島逸夫の手帖

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トランプ氏娘婿、いよいよ表舞台に

2017年1月10日

トランプ陣営の影のキーマンと見られていた娘婿のクシュナー氏が、大統領のシニアアドバイザーに起用されると報じられている。

安倍首相がトランプタワーを訪問した際に、入口で出迎えてくれたのが、娘のイヴァンカさんと、その夫、クシュナー氏であった。更に、同氏は、シリコンバレーの幹部たちとの円卓会議にも同席している。常に、トランプ氏の視線が届く位置に居て、次期大統領が身内として最も信頼している人物といわれる。大統領選挙運動中の功績も認められ、当選後も、組閣人事に当たって、助言したとされる。シニアアドバイザーとして、ホワイトハウス内で大統領執務室や閣議室があり、米国政治の中核といわれるウエスト・ウイング(西棟)を事実上仕切ることになるかもしれない。

ハーバード大学卒。36歳のイケメン。NY市内で手広く不動産業を手掛け、ニューヨーク・オブザーバーという新聞社を買収している。いかにもトランプ氏好みの経歴だ。

しかし、反縁故法により、娘婿も、ホワイトハウス内で公職に就くことは禁止されている。それでも、本人は、無給のボランティアとしてでも貢献したいと語っていた。これまでの投資案件を全て売り払うか、手を引くことで、利害関係も絶つことになろう。

大統領の親族が在任中に公職に就いた例としては、ケネディー大統領の実弟ロバート・ケネディー氏が司法長官を務めた例がある。

それでも、今回、シニアアドバイザーとして、あっさり起用されると、トランプ流身内支配との批判の声もあがりそうだ。

いっぽう、次期大統領の「暴走」に対して、「殿ご乱心」と意見出来る立場の人物として、ウォール街には、期待感もある。

同氏は「トランプ氏は、遠くから見ると、嫌われやすい。しかし、役員室のプライベートな空間でビジネスの話になると、彼は変身する。政権も、移民に関して合理的な立場をとるであろう。インフラ投資も、道路や橋ばかりではなく、高速インターネットや無人運転車も含むことになろう。」と述べている。彼の語り口は、右翼のポピュリストというより、TEDトークで起業についてのプレゼンをする痩身の若者を連想させる。

更に、なにかと意見の相違による内輪もめの可能性が指摘される経済政策の分野でも、ウエスト・ウイング内のまとめ役として動くことが期待されている。

特に、トランプ政権は、各分野の「成功者」を集めたフラットな組織になっており、縦割りではない。それだけに、根回し役の存在は重要なのだ。

トランプ相場の持続性を計るにあたり、注視すべき人物が表舞台に出てくるようだ。

そして、金プ・ラチナは強いね。ドル高株高も頭が重くなった。金曜の雇用統計で賃金(平均時給)が良い数字(前年比2.9%増)で一時は117円台を回復したが、今日は早くも115円台に戻っている。明日のトランプ氏、当選後初の記者会見に要注目。これまで一方的なツイッターばかりだったから。

私の2017年金市場予測は7日土曜日日経朝刊マーケット面に詳しく載っているよ。

写真は、クシュナー氏と、土曜日に出たABC朝日放送情報番組から。番組での発言について詳しくはツイッター@jefftoshima参照。

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2017年