2017年1月17日
市場は、トランプ氏の大統領就任演説を既に聞かされた如き状態にある。特に、英独メディアのインタビューでは、彼の欧州感が明確に披露された。
メルケル首相の難民受け入れを「壊滅的」誤りと断じ、プーチン大統領と同列に扱い「まずはお手並み拝見」の如き発言。ロシアが「核削減」に応じれば、経済制裁解除も匂わす。NATOは重要だが「旧式の時代遅れ」。「ドイツのための道具」であるEUから離脱する英国はすばらしいことになる、と称賛。「英国の次にEUから離脱する国はどこか。」とブリュッセルEU本部に問う。親英、嫌EU路線が露わになった。米国と欧州が対決、その狭間に英国が置かれる。この亀裂にほくそ笑むのはロシア。更に、亀裂に乗じて、ダボス会議に乗り込み、白馬の騎士役を演じようとする習近平中国国家主席。同会議の米国側からの出席者はオバマ政権とトランプ政権移行チームの数名だけ。グローバリゼーションを中国が論じ、米国は反グローバリゼーションを語る。しかし、米国国内の世論は二分化。大統領就任演説前には支持率が上がるものだが、今回はトランプ政権支持44%、不支持51%というギャラップ調査結果。
閣僚指名のための議会公聴会で、トランプ政権内部の意見の相違が次々に顕在化しているが、次期大統領は「皆言いたいことを言って構わぬ。」とツイッタ―で下知を与えている。結局、娘婿クシュナー氏など身内の意見を聞いたうえで最終決断する腹積もりのようだ。なにやらワンマン経営の同族企業を連想させる。
かくして本音を吐露した後、かりに就任演説で、如何に大統領らしく振舞っても、懐疑的に見られるだろう。
市場は、とにかく、就任演説待ち。