豊島逸夫の手帖

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サウジの変、原油・金を揺らす

2017年11月7日


突然で全く想定外の出来事であった。サウジアラビア政府が数十人の王族、閣僚を反汚職の名目で拘束。今やサウジの国防、警察、警備を掌握しているムハンマド皇太子への権力集中が進む。習近平並みの強権発動だ。


原油価格が低迷し長期的にはEVの普及により、価格上昇のシナリオは描きにくい。そこで同皇太子は、石油依存からの脱却を目指し構造改革を進めてきた。とは言えサウジはOPECの盟主。皮肉なことは今回のサウジアラビア政変が原油供給混乱を連想させ、原油価格が急騰していることだ。同じコモディティーの金も誘われるように上がっている。


市場が注目していることは、カリスマ投資家のアルワリード・ビンタラール王子までもが拘束の対象とされていること。同王子はシティグループ、アップル、ツイッターなど大手企業の主要株主だ。株式市場も原油価格が上がることはエネルギーセクターに朗報なのだが、同王子保有の株式がどうなるのか不安も残る。更に、史上最大のIPOと言われる国営石油会社アラムコの株式上場計画も先行きが危ぶまれる。
更に、サウジ国内社会が不安定になるとISなどの過激派が勢いづく可能性がある。サウジは人口の半分が20歳以下だ。若者失業率は4割を超える。
サウジの変の影響は当然の如く世界に及ぶ。株価は高値を更新中だが、好事魔多し。
今後の展開から目が離せない。

2017年