豊島逸夫の手帖

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トランプ減税の現実味

2017年2月10日

トランプ大統領が「2~3週間のうちに劇的な減税を発表する。」と約束した。市場は、いよいよ本丸に来たかと、期待を込める。

法人税と中間層の所得税負担を減らす案となろうが、共和党内で未だコンセンサスがまとまっていない部分が、全体税収の維持方法だ。原則、財政赤字を悪化させない範囲での減税ということになれば、どこかで税収を増やさねばならない。その手段として考えられているのが国境税だ。米企業の輸入に課税して、輸出には課税しない。この国境税導入で今後10年間に1.1兆ドルを捻出できる、との計算である。しかし、この国境税には、輸入品を多く扱う小売業などが大反対だ。いずれ、消費者物価に跳ね返ってくるは必定。その他、輸入価格上昇で痛みを味わう業種は少なくない。結局、国境税を受け入れるか否かが争点になりそうだ。

上院は共和党と民主党が52議席対48議席で拮抗しており、数名の造反者が出るだけで、議案がストップしてしまう。先日の、デボス教育長官指名承認が50対50に割れ、ペンス副大統領が規定により一票を投じ決着した記憶も生々しく残る。

減税に関しては、そもそも、市場でも夏くらいまではコンセンサスをまとめる根回しに時間を要するとの見方が多かった。それを2~3週間以内と急激に早めたので、市場にはサプライズとなった。しかし、共和党内が2~3週間内にまとまることは、まず考えられない。前途多難である。市場は、先食いで、株を買い進んでいる。

金価格は、株高ドル高で反落。当然の調整ともいえる。

2017年