豊島逸夫の手帖

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いよいよFOMC、今回の勘所は

2017年6月14日

今日のブログはかなり細かい数字が並ぶので、スキップしてもいいですよ(笑)。

本文。

今回のFOMCで最も注目されるのは「ドット・チャート」、即ちFOMC参加者の米政策金利予想分布図である。これまでに比しどのような変化が見られるか。

2017年3月時点で短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、0.25%引き上げられ0.75%~1.00%のレンジになった。その中間値が0.875%になる。

今回市場に織り込まれているとおりに6月利上げ決定となれば、金利誘導目標レンジが1.00%~1.25%となり、中間値は1.125%となる。

そして、注目点は2017年末の1.375%予測の人数だ。前回(3月時点)では9人だった。かなりのFOMC参加者は年内追加利上げ6月と9月、あるいは6月と12月などと予測していたことになる。

これが今回(6月時点)9人程度と変わらなければ、年内、例えば9月に1回だけということになる。しかし1.625%予測の人数が前回4人から例えば10人近くに急増するようだと、俄かに年内あと2回(9月と12月など)説が優勢になる。

市場の事前予測では、6月利上げの後は9月に一回利上げして、12月はFRBバランスシート縮小が始まり、利上げのほうは「一回休み」との見方が多い。17年末予測は1.375%の数が多いはずである。そうなれば織り込み済みで、利益確定売買程度の動きとなろう。

しかし年内あと2回となると債券市場でドル金利が上昇して、外為市場ではドル高円安、商品市場では金安に振れるだろう。日本株には「円安」の追い風が吹くことになる。

この年内2回シナリオだと、FRB資産縮小開始時期が来年にずれこむことになろう。引き締め効果がある資産縮小と利上げを同時に実行すれば、市場がショック反応を引き起こすリスクがあるからだ。

次の注目点は、来年2018年は何回利上げして、来年末の予想金利水準はどうなるか、ということだ。

前回(3月末)は2.125%が6人いた。これは、2017年年間利上げ回数を3回(3月、6月、9月など)と見て17年末の予想金利を1.375%とした上で、2018年年間利上げ回数は3回と予測していたことになる。

今回も2.125%の人数が多ければ、サプライズは無し。

しかし、1.875%の人数が増え、2.125%の人数は減るというようなことになれば、利上げペースが予想以上に緩やかとなる、と解釈される。市場はドル安・円高に振れ、金には追い風、日本株には逆風となる。2018年に資産縮小ペースが本格化する、或いは、米国マクロ経済見通しが悪化すればありうるシナリオだ。

イエレンFRB議長は、インフレ率と賃金を除き米国経済は利上げに耐えるほど回復しているとの見方に立つだろう。しかし、市場には、マクロ経済データの出方に不安を感じ、更にトランプ財政政策の実現性を訝る見方も根強い。ゆえに、マーケットはFOMC声明文の行間を読み、FRB経済見通しの本音を探ることになろう。

なお、FRBバランスシート縮小については、記者会見で特段踏み込んだ発言がなければ、後日FOMC議事要旨が発表になった時点で詳細が判明することになりそうだ。

※前回の金利予測一覧表 Figure2 参照。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20170315.htm


2017年