豊島逸夫の手帖

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海外投資家、日本株市場「条件付き」参入へ

2017年10月12日


Kobe Steel(神戸製鋼)のデータ改ざんスキャンダルは「氷山の一角」ではないのか。海外投資家たちが厳しく日本企業の隠ぺい体質を問うてくる。中には、ヘッドラインからの短絡的連想で「Kobe Beef(神戸牛)は大丈夫なのか。」などの呟きまで飛び出す。
「赤信号、皆で渡れば怖くない」というような日本の伝統的企業文化が未だ残っていることが、図らずも露わになってしまった。
そこに日経平均21年ぶり高値、そして衆議院議員選挙与党優勢の報道。
運用の視点では、政権安定観測により日本株に安心感が醸成されつつある。
国際分散運用のローテーションでも、日本株のライバルとなる欧州株に警戒感が出てきた矢先のことだ。欧州株については、ECB量的緩和終了の可能性、ユーロ高の企業業績への影響が懸念されている。新興国株もライバルなのだがFRB利上げによるマネー流出リスクがつきまとう。
そこで日本株が相対的に浮上しているわけだが、日本企業のコーポレート・ガバナンスが改善されても、社内企業風土が旧態依然との不信感もくすぶる。
更に、日銀による株ETF購入の出口も長期運用の年金などには特に気になるところだ。「日銀頼み」の依存症からの脱却は支えを失った「株価暴落」を引き起こす。
海外投資家も慎重に日本株を吟味しているところだ。


金価格のほうは1290ドル台まで戻した。「スピード調整」の範囲内。
9月FOMCでも低インフレ傾向が指摘されたことが重視されている。
なお、次期FRB議長候補としてパウエルFRB理事をムニューチン財務長官が推薦したと米政治メディア「ポリティコ」が報じた。同氏はイエレン議長と同じ低金利派なので、もしこの報道が事実ならドル安・NY金高要因となる。
トランプ大統領は人事もツイッターで発表するので、彼の呟きから目が離せない状況だ。

2017年