2017年11月20日
中東は文化的に金選好度が高い地域だ。サウジアラビアも例外ではない。王子たちは欧米で金を扱う銀行の「優良顧客」になっている。筆者が担当した王子も訛りがない英語を喋り、所作もウォール街の人物かと見まがうほどだった。
それゆえ今回の突然の腐敗弾圧の動きの中で、金市場では拘束された王子たちが保有していると見られる巨額の金塊の一部が没収されるのではとの観測が飛び交う。
特に、政府側が王子保有資産の一部供出を条件に解放するとの「取引」情報に懸念を抱いている。政治リスクが強まると与信限度枠も縮小される。先物で売買している事例もあるので「強制手仕舞い」などのカウンターパーティーリスクも考慮せざるを得ない。
サウジ当局が王子たちへ自国への投資を優先させ、国外資産レパトリ(本国還流)を促しているとの「サウジ・ファースト」の動きも気になるところだ。金塊の多くは世界の金現物取引の中心地ロンドン市場の大手銀行カストディアンに預託されているケースが多いからだ。
ドバイが中東地域の金流通中継基地。
街中のゴールド・スーク(金アーケード街)にはサウジなど近隣諸国からの顧客で賑わう。
サウジアラビア通貨庁(SAMA)が相当量の金を「隠れ外準」としてIMFに申告せずに保有しているとの観測も以前から根強い。一般論として公的保有金のかなりの部分はイングランド銀行やNY連銀などの金庫に保管されている。最近ではドイツがNY連銀に預託している公的保有金の一部を「現物監査」のためフランクフルトに戻す措置を取った事例もある。
総じて、一連の強権政治の流れは腐敗撲滅の習近平政権を想起させ、自国第一主義の動きはトランプ政権を想起させる。
株式市場では、アラムコ上場の行方、そして著名投資家アルワリード・ビン・タラール王子が保有するアップル、シティーグループ、ツイッター株への影響が注目されるところだ。
2018年のリスクとしてサウジの異変から目が離せない。
そして今日の写真は季節のジビエ。猪のイタリア風煮込み。ジビエを食べる時は禁酒中なれどワインが欲しいね。お茶でジビエは、ちと辛い(笑)。