豊島逸夫の手帖

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トランプ大統領に議会の洗礼、インフラ投資も多難

2017年2月8日

米上院でトランプ政権教育長官候補デボス氏の承認採決が賛否50票ずつとなり、規定によりペンス副大統領が採決に参加して、かろうじて承認された。51対50という異例の事態に、トランプ大統領も、ヒヤリとしたのではないか。

米上院での議席数は共和党52名、民主党48名。ネジレは解消されたものの、少しでも内部造反が出れば、決められなくなる危うさを秘める。

市場が懸念するのは、トランプ相場の目玉といえるインフラ投資と減税への影響だ。

共和党内には伝統的に均衡財政の考え方が強い。トランプ政権は大型インフラ投資の財源を民間に求めているが、PPP(官民パートナーシップ)の実現性は未知数だ。やはり、財政赤字の問題を避けて通ることは出来ない。共和党内では、大型インフラ投資予算に対して、福祉厚生関係予算を削減する案が論じられる。しかし、既にかなりカットされてきた分野であり、かつ、各論になると、選挙民を意識した既存権益死守の言動が出るは必定だ。軍事予算も、党内で意見が分かれるところだ。

トランプ大統領は、例えば、「均衡財政より我が国の軍備のほうが重要だ。」と述べ、正面突破の構えである。

減税案についての考えにも、党内に不協和音が目立つ。

財政赤字をこれ以上増やさない税制改革が論じられるが、トランプ大統領は、4%程度の経済成長を実現させ税収増を狙う。

2017年