豊島逸夫の手帖

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日銀さくらレポート、多くの地域で景気「拡大」、ホントかい??

2017年7月11日


日銀の地域経済報告、通称さくらレポート最新版が10日に発表されました。それによると、北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の5地域で景気判断が「拡大」に引き上げられました。
うーーん、私は講演で日本中を廻っていますが、例えば空港からタクシーに乗ると、どこへ行っても「お客さん、景気、まだまだだね。この地域だけはダメ!」と運転手さんがこぼしますね。どこへ行っても「うちの地域は景気良い。」という話を聞いたことがない。
現地の主催者たちと話していても「景気。。良いとは言えませんねぇ。。」とため息まじりに言われます。
さくらレポートは、現地の日銀職員が現地の経済人たちの声を直接聞いて、生の意見を反映するとされます。
はて、私が会う現地の人たちと、日銀が会う現地の人たちと、どこが違うのかな。。。と思ったりします。
個人投資家たちの感覚は、たぶん「景気。。良くなっているじゃない。。私の給料は上がらないけど、よそさんは良いらしいじゃない。。。だから、きっと景気上向きなんだよ。。」ということかと思われます。
実感なき景気回復ということでしょうか。
例えば、外国人観光客の急増で確実に潤っている人たちはいるはず。人手不足で時給は上がっているから、賃金は上昇するはず。
でも自分が潤っている感覚はまだない。そのうちに自分にも恩恵が廻ってくるかも、という淡い期待でしょうか。


米国でも、雇用統計で賃金の伸び悩みがマイナスのポイントとして指摘されます。
日本ほどではないけれど物価もなかなかスッと上がりません。
今週発表される米消費者物価上昇率や小売統計に市場の注目も集まります。
総じて、日米で節約志向は強まっています。
インフレ率と同様に金利も上昇傾向とはいえ、歴史的に見れば超低金利水準にあります。ここでは会社の社長さんたちが先行きに自信を持てず、設備投資になかなかお金を使う決断が出来ないことも効いていますね。
色々考えさせられる日銀さくらレポートでした。

2017年