豊島逸夫の手帖

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トランプ・プーチン会談

2017年7月10日

今回ハンブルクでのG20がらみで最も注目されたトランプ・プーチン初の直接会談。

30分の予定が2時間20分と大幅にオーバーするほど話が弾んだ、と言うより、お互いの主張に時間がかかったと言うべきか。そのワリを食って、プーチン氏は安倍首相との会談に遅刻。「ごめん、シリアとかウクライナとか問題山積でさ。」と詫びたとか。

冒頭でトランプ氏はいきなり「米大統領選」へのロシアのハッキング介入について質した。当然プーチン氏は強く否定。そのまま平行線。ロシア側は「米国側はロシア介入せずと了解してくれた。」と外相が語る。しかし、米国側は「プーチン氏は否定した。」と言うだけ。まぁロシアが認めるはずもない。それでもシリアについで一部暫定停戦合意へ。二人のchemistry(和訳すると気性)は合ったようだ。なお、会談風景をテレビで見ていてプーチン氏が落ち着かない印象を受けたのだが、BBCが専門家に分析させた。「揉み手したり、視線を合わせなかったり」プーチン氏のほうがナーバスになっていたと指摘。

結局、これまでの事は水に流しリセットして、お互いのスタンスを見直す、という事のようだが、果たしてどこまで米露関係修復できるか、できないか。これは地政学的要因として極めて重要だ。

失態も目立った。

まず、トランプ政権のスパイサー報道官が、こともあろうに習近平「台湾総統」、安倍「大統領」と誤記。英語でPeople's Republic of China(中国)とRepublic of China(台湾)を間違えた。President Abeとも。これはお粗末。

そして、G20の席でトランプ氏が席を外した間に、娘のイヴァンカさんが大統領席に着いていた事も問題視。かねてから公私混同が指摘されていたゆえ。

次に、先週金曜の雇用統計が賃金上昇を除き、すこぶる良い数字で、これなら利上げも問題あるまいということで、ドル高・円安そしてドル建て金安になった。1210ドル台。想定通り年後半は下押しモード。底は浅い。

新債券王といわれる「カリスマ当たり屋」のグンドラック氏が「これなら四半期ごとに利上げ出来る。」つまり年内9月と12月と2回利上げしても大丈夫と語り市場の話題に。

とにかく世界的利上げモードになってきた。日銀以外は。出口に最も遠いのが日銀ということで円安進行。

そんな話を昨日発売の日経ヴェリタス「豊島逸夫の逸's OK」に書いた。題して「シントラの密談で円安か」。シントラはポルトガルのリゾート地。ここで6月下旬に開催された中央銀行会議で「緩和からの脱却、出口」が諸々論じられた。「山の上の宮殿」で有名な昔の貴族の避暑地で、主要中央銀行七賢が「竹林の清談」という次第。私もプライベートでシントラに行ったことがあるので写真を添付。宿泊したホテルに天正遣欧少年使節団(1580年頃)の絵が飾ってあったことが印象的。蛸のオリーブ・グリルが素朴だけど旨かったなぁ。ポルトガル料理は日本人に合うテイストだ。

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それにしても日銀の緩和策は、唯一株式購入にまで及ぶ。その結果、日本株は日銀依存症。果たして、この日銀株式大量保有の「出口」では何が起こるのか。かなり不安要素。

2017年