豊島逸夫の手帖

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ポテチショック、コロッケにも波及

2017年4月14日

コモディティの話題として、ポテトチップスがスーパーの棚から消えるほど品薄になり、メーカーのカルビーとか湖池屋が販売中断に追い込まれる事態が発生したことが注目されている。

日本のポテトチップスに使われるジャガイモは、消費者の国産品志向が強く、北海道産が7割を占める。それが昨夏の台風の被害を受け、北海道産ジャガイモの収穫量が激減。原料調達が困難になった。販売再開のめどはたっていない。

北海道産は国内生産の8割を占め、8月末から10月中旬にかけて収穫する。11月以降は倉庫で貯蔵したものが出荷されるのだが、今年は例年なら5月まで残っている貯蔵品が4月中旬にはなくなる見通しだ。

ポテトチップス用のジャガイモに関しては、この貯蔵技術が重要になる。日本企業の腕の見せ所だ。

貯蔵中の温度が高いと発芽してしまう。この芽をとる作業は人の手で行うのでコストアップ要因となる。海外では貯蔵時に発芽抑制の薬品を使うが日本では使用が禁止されている。

いっぽう、貯蔵庫内の温度を下げ過ぎるとジャガイモが自己防衛本能で内部に糖分を蓄えてしまう。糖分が高いとポテトチップスにするときに焦げてしまい色上がりが悪くなる。

従って、温度管理など高い技術が要求される。

更に、ジャガイモを収穫した順番にドカドカ貯蔵庫に積んで行くわけにもいかない。畑で育っている段階からサンプル検査や畑の良し悪しを見て「ここのジャガイモは長く貯蔵できそうだ。」、「ここのは早めに工場に出したほうがいい。」といった目星をつけるのだ。そしてグループ分けしてコンテナに入れ貯蔵される。その際に光の管理も重要だ。ジャガイモは光に当たっていると表面が光合成を始めて緑化し、そこにグリコアルカロイドという毒素が発生するので、貯蔵中は真っ暗な状態を維持せねばならない。

なお、欧米では生食用とは違う「ポテトチップス専用品種」を栽培してきた長い歴史があるので、糖度が低く傷や疫病にも強い品種が存在する。しかし、それらを日本に持ってきても気候風土に馴染まない。

また外国産生じゃがいもは、害虫検疫の理由で特定の国からの輸入は禁止されている。

このように、ポテチショックの裏には日本ならではの高い品質管理が要求されているわけだ。

なお、ジャガイモ不足は遂にコロッケにまで波及中だ。

この話は、明日土曜日のいつものABC朝日放送で生出演してやります。ついでに桜満開の京都に寄り花見もしました。例年より寒いので、今年は桜の花が散らずに、長く満開状態が続いています。この時期は例年ならとっくに葉桜になっているのに。先週が花見客のピーク(イースター休暇の欧米人が多い)だったけれど、今週が桜のピーク。1週間遅れで当たり外れがあるね。

そして、祇園「らく山」に久しぶりに寄ってタケノコづくしを堪能しました。タケノコも異常気象で今年は不作。やっと今週から出回り始め、来週にかけて旬になるそう。


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「らく山」にはこのブログ読者の来訪が本当に多いと大将が言っていました。最近、私が糖質制限ゆえ、うまい物写真が少ないのにね(笑)。

とにかく大将が作るタケノコ料理を食べたら、ほかには行けないね~。私も金とおなじくらいお奨めしますよ(笑)。

2017年