豊島逸夫の手帖

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ビットコインか、金か、調査結果発表

20171211

ビットコイン先物が日本時間今朝8時から米国シカゴ・オプション取引所(CBOE)で始まり、1万5千ドルから1万6千ドルの水準で乱高下している。複数のビットコイン取引所価格との乖離も目立つ。未だ価格を平準化させる裁定機能は働かず、市場が本格的に機能しているとは言い難い。注目度は高いが価格変動が極めて激しいため先物市場関係者も投資家たちも慎重な姿勢だ。

先物市場の視点ではサーキットブレーカーがいつ発動されるか。一般的に取引が過熱した時に一定時間売買を中断する取引所のシステムだ。一日に20~30%もの値幅で乱高下すれば、通常は直ちにサーキットブレーカーが発動される。

更に先物売買参加者が破たんした場合の対応も問題視される。通常は売買清算業者(クリアリングハウス)がリスク管理者となるが、今のところ大手投資銀行の多くはビットコイン先物取引仲介業務参加を当面見送る姿勢だ。参加を表明しているゴールドマンサックスも一部の顧客に限定して対応の方針だ。結果的に実際に参加するのは中小のブローカーとなる。レバレッジは2倍程度に抑えられるので通常のFX売買に比べ「おとなしい」様相ではある。

長期的には先物取引が加わることでビットコインのバブル・リスクが現実的となろう。スポット売買だけでは市場規模も限定的だが、先物取引でレバレッジがかかると潜在的債務は無限に拡大するからだ。過去のバブルを見てもレバレッジの高さが債務不履行を誘発した事例が多い。

個人投資家の動きだが外野では騒がれるが意外に冷静だ。

筆者のツイッターアカウント@jefftoshimaで、週末にアンケート機能を利用して問うてみた。

「あなたに現価値100万円相当のボーナスをあげます。但し受け取りは10年後。選択肢は4つ。ビットコイン、金、円紙幣、ドル紙幣。あなたならどうする」

結果は金51%、ビットコイン20%、ドル紙幣17%、円紙幣12%であった。

次に受け取り時期を「2018年1月1日」に変えて同じ質問を投げかけた。

結果はビットコイン31%、金29%、円紙幣22%、ドル紙幣18%であった。

ビットコインの短期売買には一定の興味を示すが、長期的な価値保存機能については極めて慎重な見方だ。

筆者のフォロアーは1万6800人程。その大半が株・FX投資家である。金のファンも4000人程いるので、金選択のバイアスはかかっていると思う。それゆえ受け取り時期を変えた2つの設問で変化を探ってみた。

なお、長期で持つなら金ということが一般投資家にも強く浸透していることが確認されたことは、長期投資肯定派・先物短期否定派の筆者としては安堵した。

総じて、世界的に規制が明確ではないビットコイン市場が先物売買の対象となるところに危うさが感じられる。

まずは、市場環境の整備が必要であろう。

2017年