豊島逸夫の手帖

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新商務・財務長官公聴会発言に注目

2017年1月16日

就任式を20日に控え、トランプ氏の問題発言が続いている。

「当選後の勝利演説の如く、就任演説になれば大統領らしく振舞うだろう。」との期待を込めた市場の観測も揺れている。

週末には、イスラエルに関して、テルアビブの米大使館をエルサレムに移すと言明。これは、パレスティナ側にとって、対イスラエル政策の根幹を覆す動きだ。米経済紙インタビューでの「一つの中国」政策見直し発言に次ぎ、中東でも、外交政策転換の可能性が生じている。

ロシアについても、英タイムズ紙とのインタビューで、ロシアが核兵器削減に応じれば、経済制裁解除の可能性に言及した。しかし、先週の議会公聴会で、ティラーソン国務長官候補は「NATO同盟国が警戒するのは当然で、経済制裁は続けるべきだ。」と述べている。

次期国防長官候補マティス氏も、元NATO中央軍司令官の経歴を持ち、「ロシアとの協調も結構だが、現実は直視せねばならない。」と対ロ強硬論を匂わせている。この点については、13日付け本欄「待ったなしの地政学的リスク」を参照されたい。

議会の公聴会は長時間にわたるので、政権内の内部亀裂が浮き彫りになりがちだ。

今週は、市場注目の経済官僚二人の番である。

18日にロス商務長官。19日にムニューチン財務長官の予定となっている。

ドル高について、「米国が最強国家ゆえマネーが流入する」との考えのようだが、これ以上のドル高を容認するのか。減税などで3~4%の経済成長が可能なのか。中国を為替操作国として認定する可能性はどうなのか。30年債、更に50年債、100年債さえ考慮と述べているが、ヘリマネ論なのか。市場は、なんらかのヒントを探るであろう。

いっぽう、ロス氏は、TPP支持派からTPP反対派に転じた理由を突かれそうだ。2015年には、TPPこそ、米国雇用を創出。外国から米国への投資を誘引するので、米国労働者にも恩恵、と説いている。2012年には、中国から雇用は戻ってこない。ベトナム・タイなどに流れるとも論じている。

更に、日本にとって気がかりなのは、同氏も貿易不均衡相手国として、中国・メキシコと同列に日本を扱うか、ということ。同氏は、選挙期間中のトランプ陣営経済政策立案にも指導的に関与した。輸出を増やし、輸入を減らし、貿易不均衡を是正することが成長につながる、との管理貿易論を説いている。

就任式の前日、前々日に行われる議会公聴会だけに、次期大統領発言との整合性も含め、市場はその一部始終を見守ることになろう。

特に、ドル高と日米貿易不均衡に関する発言は、間接的な表現でも大きな変動を生むので要注意である。

なお、トランプ氏は、タイムズ紙とのインタビューで、「ブレグジットは、素晴らしい。ポンド急落も、英国製品輸出には朗報ゆえ歓迎する。」とも述べている。

なお、金価格展望について、14日土曜日日経朝刊商品面にまとまった記事が載っているから参照のこと。

今日の写真は、まず、ごひいき蕎麦屋のそばがき。まろやかな、そばがきが絶品。私は、大の蕎麦好きでね。あちこち蕎麦屋巡りをしている。


そして、イタリアンの麺。キノコ盛り沢山のパスタと魚介盛り沢山のパスタ。


2017年